卒業を祝して
<広報アジア2007年3月10日発行>
ご卒業おめでとうございます。日本経済はバブル後の長いトンネルを抜け、とくに、深刻な影響を受けた新卒者の雇用に関しては、やっと明るさが見え始めました。しかし、トンネルの先で社会が待ち望んでいるのは、一騎当千の即戦力となる実力のある人材です。国際的に通用する、あるいは国際的に競争力のある人材です。必ずしも外国語に長けているということではなく、国際水準の生産性のある人材が求められているということです。
これからの日本は大きく変容していくと思います。よりどころになるのは無形の資産です。例えば、日本企業の市場価値、すなわち企業に利益をもたらす能力の4割近くが、有形の施設・設備等の資産ではなく、無形資産あるいは知的資産だと言われています。人材、開発能力や技術、組織力、ブランド、各種の人的ネットワークなどが含まれます。日本の経済発展は、旺盛な設備投資によるものですが、生産工場は場合によっては海外に移転しますし、無資源国の日本がここまで豊かになれた根本は、まさにこの無形資産の形成に努力してきた結果です。
学生時代は、ある程度の失敗も許されますが、実社会では失敗は許されません。少なくとも、自分に対してはそう自戒すべきでしょう。しかし、社会には情けもあります。これも、今後いろいろと経験をなさると思います。まさに苦しいときの友は真の友です。人的ネットワークと言ってしまえば直截過ぎますが、そのような真の友をたくさん持ってください。
皆さんは亜細亜大学の4年間、あるいは短期大学部の2年間、充実した学園生活をお送りになったと思います。努力して何らかの資格を獲得した諸君もいることでしょう。しかし、資格取得はほんの入り口でしかありません。自分の仕事に情熱をもってあたるようになれば、資格よりもさらに深い内容が見えてくるはずです。在学中の経験、獲得した能力や資格、そして大切な友人などが、次のステップでの情熱や原動力になることを切に希望します。
頼るべきは自己の能力であり、情けや情熱です。これこそ、社会という、流転し、平均値や標準が意味をなさないほど多様なものの中で、無形ですが不変な礎石と言えます。
皆さんのご活躍とご健勝をお祈りします。