卒業を祝して

『卒業を祝して』

他者を生かし、自己を生かす知恵を

<広報アジア 平成22年3月10日号>

 ご卒業おめでとうございます。いよいよ新たな世界への旅立ちです。皆さんの門出を心より祝福いたします。

 今年度の皆さんは、卒業への最後の段階で厳しい就職活動を経験したことでしょう。日本経済はバブル崩壊以降だけでも何度も不景気の荒波に晒され、そのたびに就職氷河期を迎えましたが、とくに皆さんの年度は、2008年秋に発生した世界的規模での厳しい金融経済不況の影響をまともに受けた中で就職活動が開始されました。実社会の厳しさを実感したものと思います。

 ただ、それぞれの世代にはその時代の動きが反映されます。私は団塊の真っただ中の世代で、小中高校では1クラス60人以上もの生徒がおり、一生競争が続くと言われました。しかしその分、みな逞しく育ったと思います。

 現在はバブル経済崩壊に象徴されるように護送船団方式の保護政策や日本的経営が見直され、グローバル経済化や金融・情報経済化による国際大競争化や国内外景気変動直結化の時代です。これからは、間違いなく世界中で個人の競争の時代に入ります。就職氷河期という逆境からのスタートですが、勝負はこれからです。逆境に立ち向かう不撓不屈の精神が必要です。それでこそ、どのような時代状況になっていっても生きていけます。

 効率性優先の経済に直結した就職活動こそ厳しいものの、社会はもっと懐の深いものであり、はるかに味わいのある世界です。そこは実に大きく素晴らしい世界です。何でもできます。思いも付かない出来事の連続です。実に楽しいではありませんか。この素晴らしい世界を、どう感じるかは諸君次第です。当然、苦しいこともあるでしょう。しかし、意義のある目的のための努力は苦しくないこと、あるいは耐えられることは、すでに色々な場面で皆さん経験済みだと思います。これから経験するかも知れない試練はもっと深く大きいかもしれませんが、その分、乗り越えたときに得たものももっと大きくなります。乗り越える秘訣は、それぞれの段階ごとに、目標に一歩近づいたことを確信し楽しむことだと思います。努力は必ず報われます。加えて、目標までのプロセスも楽しむ。愉快だとおもいませんか。

 これからは、社会の全てが師であり、そこからさまざまな物事を学ばなければなりません。大学で学んだことは、虚心に学ぶ姿勢です。加えて、これからは、何をどう生かすか、他者をどう生かし、自己をどう生かすか、生きる知恵を学んでください。諸君、自分と家族を大切に逞しく生きてください。