平成20年年頭の御挨拶
<「良き連鎖」の元年に>
明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年は大学全入時代到来と言われていましたが、進学率上昇などにより志願者数が受入数を1割程度上回りました。18歳人口は今後もしばらくは大きな変動なく続きますが、その後再び急速に減少すると言われています。現在、4割の大学が定員割れ状態にあり、どの大学もなりふり構わず受験生集めに奔走するのではないか、そして結果として学生の質が
低下するのではないかと懸念されています。この受験生集めと学生の質の低下に始まり、社会からの大学教育の信頼低下、日本の競争力の低下、日本の没落という一連の構図は、「共有地の悲劇」の言葉を思い起こさせます。共有地の草を、それぞれ自分の家畜に食べさせようとする結果、共有地が荒廃し、どの農家も共有地から利益を享受できないというものです。個々の大学が没落し総体的な日本の教育も荒廃するかもしれないという悪夢です。
しかしながら、昨年12月のネットワーク多摩主催の学長・理事長会議での結論は、ある意味では安心しました。教育改革もせずに学生集めだけに奔走する大学は、結局、信頼の失墜により淘汰され、良い教育により学生を集めることこそが大学間競争に勝ち抜く正攻法だというものです。このような競争である限り、大学教育が社会から信頼され、評価され、進学率が高まり、諸外国からも質の高い留学生を呼び集めることができます。この「良き連鎖」では、進学率の上昇と留学生の増加が定員割れの解消に繋がります。本学は、定員割れに怯えることなく質の高い教育をすべく努力すべきです。それが必ずや社会から評価され、安定的な大学運営へと繋がります。そして、人口減でいまの豊かさを維持するには、日本は知識基盤社会を目指すしかありませんが、質の高い教育の提供こそが、これを達成できるのです。
昨年は、中国とアメリカを中心に訪問しましたが、どちらの国の大学も学生も、それぞれが夢を持ち、その実現に向けた素晴らしい教育システムと強い学習意欲を持っています。本学には自助協力という揺るぎなき建学精神の支柱があり、その精神で努力できるはずです。本年が「良き連鎖」の元年であることを、新春にあたって清々しい気分で確信してい
ます。本年が皆さまにも良いお年であることを祈念いたします。