青々会報92

時代変化にあっても建学理念は継承

<青々会報第92号 平成20年10月15日発行>

 学長に就任して2年が経過しました。その間、アジア国際経営戦略研究科博士課程が設置され、来春には経営学部にホスピタリティ・マネジメント学科の設置が予定されています。後者に関しては、すでに文部科学省からも承認され、準備万端整い、受験生からは強い関心が寄せられています。カリキュラムの詳細については本学のホームページや印刷物等をご覧頂きたいと思いますが、お知り合いにこの領域にご関心のある受験生がいればご紹介いただければ幸いです。

 さて、今春の入試では、学生の定員割れ大学がほぼ5割に達したとのことです。それに対して文部科学省が本格的な対策をとっているとは聞きません。どちらかと言えば、閉鎖した大学の学生の保護や大学連繋を提唱するのみで、全体としての競争政策のもとに、大学の自助努力や創意工夫に期待しているようです。もちろん、定員割れは大学の安定的運営に必要な収入の減少に直結しますので、定員割にはない本学であっても固有の有利性を積極的に展開し、定員割れを防ぐべくそうした取り組みや魅力的な情報を継続的に発信していかなければなりません。ただ経営的に成り立てば良いのではなく、亜細亜大学の建学の理想は引き続き継承する必要があります。

 言うまでもなく、亜細亜大学の設置1年前に94名の留学生を受け入れたことが 亜細亜大学の由来や生い立ちであるように、そして、学則第一条でも明記されているように、本学はアジア地域で活躍できる人材の育成を使命とすることに揺るぎはなく、むしろ、より確信を持てる状況にあります。育成すべき学生は日本人ばかりではなく、アジアからの留学生も含まれます。しかしながら、アジア地域の留学生の多くは欧米やオーストラリアに進学しています。それら諸国は、元来、大学教育に比較優位を持ち、国際交流が活発で、留学生を受け入れやすい状況にあります。加えて、英語などが母国語であることも有利に働きますし、積極的に留学生受入政策を実施しています。

 翻って、日本では留学生30万人計画を掲げた福田首相が辞任し、積極的財政出動、あるいは財政規律や構造改革などの狭間で、留学生政策や教育予算削減 が継続されるのか不透明です。政府の姿勢がどうなろうとも、アジアとともに ある亜細亜大学という建学時の使命を堅持すべきですが、本学の留学生は絶対数においても比率においても近年漸減傾向にあります。留学生30万人計画や海 外観光客受入のための「ようこそ日本」計画などが打ち出されグローバル化が進行しつつある現在、もっと多くの留学生を受け入れても良いと思います。

 留学生受入や国際共同研究を模索するため、過去2年間に、中国を中心に多数の大学を訪問しました。また、今年度になり、本学の最も古い学生交換協定締結校である香港中文大学新亜書院とは協定50周年記念の催しが本学で行われ、同じく最も古くから学術交流協定を結んでいる淡江大学からの表敬訪問も受けました。中国の同済大学や台湾の台北大学などの有名校とも学術交流協定を結びました。幸い、どの大学も、日本に留学生を送り出すことに強い関心をもっています。しかしながら、有名大学ほど留学生受入のための奨学金や寮施設の有無が大きな決定因になることもよく聞かされました。留学生受入態勢整備のためには寄付政策も積極的に考える必要があります。実際、各種の学長会議で他大学の学長の話を聞くと、多くの大学が頻繁に卒業生に寄付を仰いでいます。4月に発生した中国四川省大地震被災者への支援募金活動には多数の学生・教職員の協力を頂き、6月16日に中国大使館教育部に受け渡すことができましたが、これもアジアへの共感によるものと思います。(募金活動は学内の募金箱のみで行い、卒業生の皆様に協力を仰がなかったことをお詫びします。)

 日本は輸出で豊かさを達成しました。技術進歩も物作りもすべて輸出に繋がったから豊かさが達成されたのであり、それには海外の市場が大前提となります。この構造は今もって変わっておらず、国際的な場で活躍できる人材を今後も育成していく所存です。現在、全学教学戦略会議を立ち上げ、今後の本学の中期的戦略計画を検討中です。

 本学の教員も高齢化しており、昨年あたりからお辞めになる先生が増え、今後もしばらくは、この傾向が続きます。卒業生の皆様からすると、恩師が大学を去られ、なんとなく寂しく感じられるかもしれません。しかしながら、それぞれの先生が引き続きご活躍されていることもよく仄聞しますし、引き続き恩師との交誼を深め、恩師を囲むゼミ生の集まりなども頻繁に開かれているとも聞いています。たとえ恩師が去ろうとも、亜細亜大学はその伝統と文化を継承し続けます。引き続き、母校、亜細亜大学へのご鞭撻とご協力のほどをよろしくお願い致します。