質と量を追求した改革の必要性
<青々会報第90号 平成19年10月15日発行>
ご存じのように、2007年に大学全入時代を迎えるとの予測は、進学率の上昇などにより、大学・短大志願者の約9 割しか入学できないという結果に終わりました。とはいえ、今春も依然として、全国の大学で約4 割、短大で約6 割が定員割れの状況でした。志願者がすべての大学で一律に減少しているわけではなく、概して有名大学、大都市立地大学、大規模大学で増加しています。その中において、本学の学部では全体で22%の志願者増加率となりました。前年までの減少なども考えると一概に喜ぶわけにはいきませんが、増加率の上位校に名を連ねています。
上述の志願者増加大学の類型で言えば、本学はスポーツで名声を博し、亜細亜大学という校名がわかりやすいせいもあり、知名度が非常に高く、過日、近隣大学の学長が、スポーツの活躍ぶりから学生数(約5700名)などもっと大きな大学を想像していたとまで言われていました。もちろん、立地条件も首都圏の中でも中央線沿線と恵まれています。また、本学の規模に関してはいろいろな考え方があるかと思いますが、人的・物的各種資源の集積と集中あるいは多様性の有利性、資金的安定性など、規模の利益は大学においても存在します。ベビーブームによる臨時定員増期の学生総数の規模での収入・支出構造から抜け出すのが困難であれば、以前の学生総数の支出構造まで圧縮すること、また教育組織を改編して定員増を図り収入増を図るなどの方策が考えられます。必要な学生定員増には大学の持てる全資源を有効に投入する必要があります。そして、社会に評価される大学として、定員を安定的に確保することが経営上重要となります。石原哲夫青々会会長が、昨年、全青々会員に対して、大学受験を控えている子を持つ知人がいれば、是非、亜細亜大学を紹介し推薦して欲しい、との温かくも心強い呼びかけを戴きましたが、卒業生のご支援を節にお願いする次第であります。
大学競争時代にあって、大学設置基準の弾力化が進み、大学運営などにおいて自由度が増すと同時に、自己責任が一層求められています。しかも、大学には、地域貢献などの社会的責任や社会的機能が新次元で求められ、さらに他方で、国内的・国際的標準も教育に求められています。つまり、グローバルな役割が大学に求められているわけです。教員の教育・研究能力、教授方法や指導能力などの教育力、大学・短大卒業生としての基本能力、そのための厳格な成績評価とくに進級・卒業要件の厳格化、果ては授業時間に至るまで、ますます文科省をはじめとする外部機関から要求され、あるいは競争により自発的に取り組むことになります。そして、これらに関する評価活動とその改善の実施について外部に公開するようになります。たとえば、中央教育審議会(文科相の諮問機関)では学士力(仮称)の指針作りや卒業認定試験の実施、学習成果の証明機会などを提示しています。
また、大学全入に近づき入学時の学力チェックが無くなることも、卒業時に大学生としての資格チェックが求められます。このような国内的な標準化の必要性に加え、グローバリゼーションのもとで国際的な標準化が進むかもしれません。少なくとも、ヨーロッパにおいては、そのような動きがあります。国や個人によって当然のことながら教育内容は異なり尊重されますが、領域によっては、国内外共通の能力水準が要求されるものもあります。国語や外国語の言語能力、あるいは専門分野の基礎知識など、概ね汎用的な能力です。
このような現状において、短期的にも長期的にも多くの改革を推進していかなければなりません。今年度も、本学では改革の速度を緩めてはいません。中国の大連外国語学院からの編入生受け入れの拡大について検討し、2010年に全学で50人(うち経営学部30人)の枠で、すでに協定を取り交わしております。また、アジア・国際経営戦略研究科に博士課程を20年度に開設します(文科省受理済み)。このことにより2年間のアジア・国際経営戦略研究科修士課程の上に博士後期課程において継続して研究できることになりました。さらに、3年前に開設した経営学部ホスピタリティ専攻は、その経験を積み重ね、21年度を目標にホスピタリティ・マネージメント学科の設置に向けて準備を進めています。フードサービス、ホテル、ツーリズム、クラブ・マネージメントにおける実践的な専門家を養成する学科です。
現在の喫緊の課題は短大改革です。過去1年間検討を重ねてきました。今後は集中的に検討を進めることになります。
6月に中国沿海地域の諸大学を歴訪しました。中国からより多くのかつ良質な留学生を受け入れ、また、本学から中国への留学機会を拡大することが目的です。来年にはAUAP(亜細亜大学アメリカプログラム)がスタートして20年になり、留学体験者が1万人を超すことになり、何らかの記念事業を執り行いたいと考えております。以上、新たな取り組みと改革に関係者一同努力を重ねてまいります。卒業生の皆様も、母校の更なる発展にご支援、ご協力をいただきますよう、重ねてよろしくお願い申しあげます。