学長就任に当たって
~「安心して任せられる大学」に~
池島政広前学長の任期満了に伴い、10月1日に学長職を引き継ぎました。
現在、情報化時代と大学全入時代の中で、多くの大学が同じような情報と競争環境のもとで、同じような改革に取り組んでいます。場合によっては“改革疲れ”と言われるような状況でもあります。
このような時こそ、本学独自の“背骨”の通った改革が必要であり、英知を結集し、協力して本学固有の改革の方向を模索して行かなければなりません。以下、私が現状をどのように認識し、基本的に何を考えているかを披露することで、就任の挨拶とさせていただきます。
(1)「亜細亜大学の形」
改革にあたっては、成果の良くない部門の改革、全学をリードするような部門の拡大ないし創設が考えられます。このような対症療法的な対策は必要なことですが、基本として考えなければならないのは「亜細亜大学の形」です。亜細亜大学の基礎を成し“背骨”を成すものがなければ、教育の方向、大学の方向、そして亜細亜大学の“居場所”が定まりません。また、実際の運営や政策立案でも、礎石や指針がなければ右往左往するばかりです。
「自助協力」の建学精神は、人間教育として不動のものであり、「亜細亜大学の形」の基礎を成すものです。しかし、実際の亜細亜大学の形までには距離があります。学則第1条にある「特に日本及び亜細亜の文化社会の研究と建設的実践に重点を置き、もって亜細亜融合に新機軸を打ち出す人材を育成するをその使命とする」は「亜細亜大学の形」として具体的な“背骨”になります。
本学における教育面での改革は、これがベンチマーク(基準点)になると考えています。亜細亜大学がアジアの研究や教育の核たらんとするのは当然ですが、建設的実践にも等しく重点が置かれ、本学の居場所が建設的実践活動にあってもよく、そのように社会に評価され、そして学内においても同様に評価されても良いと思います。このような視角から現在の教育・研究の組織や活動を見た場合、基本的には、この方向と整合していると思われますが、今後の改革においてもこの視角から見定める必要があります。
(2)「安心して任せられる大学」作り
さて、狭義の教育を含め、より広く大学全体として、社会に「亜細亜大学の形」を示す必要があります。社会が求めるものを亜細亜大学としてトータルに受けとめるために、ここに、「安心して任せられる大学」を提唱したいと思います。
現状として、大学全入の中で、受験生が学習や進路について無目的・無関心であり、母親が大学選択に重要な影響を与えていると言われています。他方で、本学の周辺環境として大都市に隣接し、防災・防犯などについて脆弱です。
これらに対応するものが「安心して任せられる大学」です。基礎学力向上やすべての授業の学習効果を高めるための学習指導の充実、結果としての就職率の向上のための就職指導の徹底、そして、地震や犯罪などの発生に対処する防災・防犯システムの確立、建学精神を具体化した校風づくり、これらを強力に推進し、「安心して任せられる大学」作りに努力している大学としての定評を獲得したいと思います。
(3)亜細亜大学の国際教育
亜細亜大学は、今までアジアと共にありました。そのアジア地域も大いに発展しつつあり、新たな関係のもとでの付き合いが必要です。現在の日本とアジアの関係は経済的な側面が多く、その領域で活躍できる人材の要請が急務となっています。今必要なのは、文化や歴史などの知見も兼ね備えた、経営領域で活躍できる人材ではないでしょうか。
近年、「アジア夢カレッジ」プログラムとして、中国大連市との関係を強めています。また、大学院のアジア・国際経営戦略研究科も中国を中心とするアジア地域における経営活動で、即戦力となる人材を養成しています。さらに、アジアの多くの大学と交流協定を締結し、連携の種をまいています。引き続き、アジアを中心に、グローバルかつ戦略的な視点に立って、これらを推進していきます。インドやロシアとの交流協定、あるいは、欧米の展開はどうか、本学として戦略的に展開していきます。
84 年に打ち出した留学生受け入れ10万人計画はすでに12万人に達しており、日本は、今後質の向上を追求していくでしょうが、他方で、アジア経済は引き続き拡大しており、本学としては留学生受け入れについては質、量ともに追求してよいと考えます。
(4)短期大学部改革、ならびに全学共通教育の改革
伝統あるわが亜細亜大学短期大学部は、いわゆる短大離れの中で苦戦しています。早急に抜本的な改革を検討しなければならず、組織改編も視野に入れなければなりません。全学が協力して魅力ある領域を開発する時期にきています。過去における学部編入枠拡大や定員縮小などの改革では、全面的に学部の協力がありました。今般も協力が不可欠です。大学としてのチームプレーに今後も、関係各位のご協力をお願いしたいと思います。
共通教育については、基礎学力低下への対応が社会的に要請されており、また、専門教育の目的に則った共通教育が求められています。いわゆる、読み書きそろばんそのものの能力向上が必要になっています。
例えばSPI試験などの一般的な基礎学力向上に加え、学部ごとに必要な基礎領域を充実しなければなりません。平成13年の教養部分属後やや議論が停滞している「共通教育と専門教育との有機的連関」についての協議を深め、全学共通教育科目という前提の上で、どのように学部ごとのニーズに沿うか、検討する必要があります。改革の中心は共通教育ですが、専門教育も基礎学力低下への対応が必要です。いわば、共通教育、専門教育ともに、基礎学力向上への対応に平行移動しなければならないと考えます。
(5)近隣地域との交流の推進
幸い、亜細亜大学は先進地方自治体に囲まれています。この地の利を生かし、経験と知識の豊富な地域住民、とりわけ高齢者を取り込みたいと思います。また、「安心して任せられる」大学作りへの努力の一環として、とくに防災・防犯において、あるいは責任ある社会人育成のために、昼間時に数千人に達する子弟を預かる本学が、地域とのより良好な関係を構築し、リスク・マネージメント・システムを構築することは社会的責任もあります。地域社会との一層の交流を図り、本学の信頼をより高めると同時に、地域に開かれ、近隣地域住民に愛される文化センターとしての機能を持つ学園を創造したいと思います。
以上の他にも課題は山積しますが、解決にあたっては、大学構成員全員が運命を共にするという認識に立ち、英知を結集して検討し、検討結果の実施にあたっては秩序立って推進する雰囲気を醸成することが必要と考えます。
教職員はもとより、ご父母や学生諸君、そして卒業生も含め、皆さまのご協力を得て、これらの課題に挑んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。