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戻る学長就任3年目の所信


 
10月4日、教職員の皆様に対し、就任3年目の所信を述べましたので、それをここに掲載します。







 
「就任3年目の所信」
 
                 学長 栗田充治


現在の課題は「今後10年間、定員を確保する魅力を作り出す」ことです。その取り組みの一つが中長期計画「アジア未来マップ2025」であります。そして、3か年中期計画であり、今年5月にまとめた「行動宣言 7つのAction」です。
 
 過去2回の入試結果はまずまずでしたが、若年人口が減少していく中、2年間の結果で志願者の長期減少傾向に歯止めをかけられたと考えるのは、まだ早いと思います。
 
 志願者の長期減少傾向を本当に食い止めるには、何度も申上げますが、本学の教育内容を刷新し、学生の多様化に対応した「教育の質」の向上を実現することです。この課題はまだ十分には達成されておりません。
 本学の「よさ」が外部から見て分るように可視化されていないことも本学の弱点です。
 毎年の各学部FDグループの発表を見ても分るように、教育改善努力は他大学と比べて劣っておりません。
 
 現在、全学的に大学基準協会第三期認証評価ヘ向けて動き出しています。この自己点検・評価活動とFD活動、3か年中期計画を進める中で、「教育の質」の向上に取り組みます。
 
これから1年の重点課題として認識しているものを7つ挙げます。
 
第1は、教育活動収支の健全化です。
 
 29年度予算を組むに当って、中期3か年計画に基づいて各部署からの概算要求を予算会議で詳しく査定しました。全体で15%減をお願いし、皆様の協力のおかげで、予算では、経常収支差額の収入超過、黒字化を達成し、3年続きの支出超過を回避することが出来ました。有難うございました。
 また、28年度の業務遂行においてもあらゆる分野で支出の改善を進めた結果、28年度決算においても経常収支差額の収入超過、黒字化を実現することが出来ました。教育活動収支の赤字解消へ向けて、支出の改善による経費削減の努力を今後もお願いします。
 
 3ヶ年中期重点行動施策は全学レベルで60件あります。
 そのうち、1年前の所信表明では、その中で、実施済みか実施中のものが13件だと報告しました。
 1年経った現段階では、実施済みか実施中のものが48件、80%になっています。
 
 現在、3ヶ年計画における1年半の実施状況のチェックを各学部、事務部署にお願いしています。そのチェックに基づいてこれから先1年間のActionプランを策定し、さらに30年度予算づくりへと進みます。
 そして、来年度、2018年度の前半には2019年度からの新しい3ヶ年計画の策定を開始します。こうして、3か年計画に基づくPDCAサイクルを回していきます。これは本学では初めての実施となります。
 
第2はAUAPプログラムのリニューアルです。
 
 AUAPプログラムリニューアル3か年計画原案をつくり、6月にワシントン州3大学を訪問しました。
 トップ会談で、プログラムの改善と適切な経費管理へ向けて、これまで築き上げてきた双方の信頼関係のもとで協議・解決することを確認しました。
 7月からリニューアル検討会議で改善案を検討しています。来年はAUAP30周年を迎えますので、全学プログラムとしてAUAPのさらなる魅力向上を実現し、本学の国際教育の軸として発展させていきたいと思います。
 AUAPの3つの目標、英語学習、異文化理解、自己再発見を実現するプログラムという路線を堅持して、各大学の特徴を活かした個別プログラムを取込み、事前学習と事後学習を充実させて、留学の成果を活かしたキャリア形成を支援する四年一貫のプログラムを検討しています。
 共通教育カリキュラムと共に、学部カリキュラムにも関連してきますので、ご理解とご協力をお願いします。
 こうしたプログラムの改善の検討と並行して、適切な経費管理を構築します。
 
第3は、就職率、進路決定率の向上です。
 
 進路決定率90%という目標を実現します。これは学生・保護者の願いです。
 「学生を生涯応援する」というビジョンを持ち、「学生のための大学」をめざす大学として、進路決定率90%を必ず達成しなければなりません。
 本学ではすでに二つの学科がこの数字を達成しています。
 ポイントは学生の把握です。キャリアセンター資料によると進路状況調査の未回答数がホスピタリティ・マネジメント学科11名、国際関係学科34名、多文化コミュニケーション学科18名と、他学科に比べてゼミ必修の学科の調査未回答数が圧倒的に少ないのです。
 ぜひ、オリゼミなどの初年次教育の充実、2年次以降のゼミ教育の履修率向上に取り組み、それが可能なカリキュラムを構築していただきたいと思います。
 
第4は、アジア研究の活性化と発信です。
 
 3月30日にTHE(Times Higher Education)世界大学ランキング日本版が発表され、本学が150位以内にランクされました。エントリー大学は約500校です。国際性で全体の11位になる高い評価を得ました。
 
 「アジア交流の拠点となる」というビジョンのもと、8月に、アジア研究所を核として研究ブランディングに再挑戦しました。それに伴い、アジア研究のための全学的な研究推進運営体制を構築しました。アジア研究のトップ大学を目指して、研究活動を活性化します。
 私自身もアジアの研究交流拠点づくりの一環として、大連外国語大学「学術講義プロジェクト」の招請に応じ、この5月と6月に大学院で10回の「社会福祉とボランティア」集中講義をしてきました。
 関連して、国際交流活動の拠点となる海外事務所第一号をシンガポールにオープンしました。今後も、上海、台湾、北京などで立上げを計画しています。
 
第5は、学生支援の充実です。
 
 「『個性値』を伸ばす」というビジョンに基づき、「教育の亜細亜」をめざし、学生一人一人に向き合う教育を充実させて行きます。
 新たに策定し直した3つのポリシー(学位授与方針、カリキュラム編成方針、入学者受入れ方針)に沿った教育活動を行い、学生の学修時間を増やす工夫を行いましょう。
 企画調査課集計では学生が1回の授業に対して行う予習・復習・課題学習の時間は平均42分間です。これは1週間だと、おおよそ3時間前後になります。また、課外講座・就職対策など授業外学習時間の平均は5時間です。両方合わせると、1週間で約8時間になります。平成30年度にこの数字の50%増、約12時間を目標とします。
 このために、図書館が真に学修支援の場となるよう、工夫していきます。
 図書館データでは、学生一人当り図書貸出し冊数の過去4年間平均は5冊です。1年生の平均は3.7冊で、一人当り入館回数の平均は47回です。これは1ヶ月に5回程度、週に1回程度という数字です。
 課題を出すなど、学生の図書館利用を促進する工夫をしてください。
 これに関連して、読書運動を提起しようと思います。先ずは、学長推薦図書リストを作成します。これから教職員推薦の本を募集しますので、ご協力をお願いします。
 また、レポート作成のアドバイス等を行うライティングセンターを開設すべく、図書館に検討してもらっています。これは教員の教育活動支援にもなります。
 
 認証評価とも関わりますが、FD活動の進み具合を点検するためのデータの収集を各学部・学科で工夫してください。授業改善のための学生アンケートの活用、ポートフォリオを使った学生の学修成果の把握と評価、IRデータの収集など各学科の創意を活かして取り組んでください。また、卒業生から見た本学の教育に関する評価など卒業生アンケートの実施も来年度計画しています。卒業生教員の把握努力も一層進めます。
 
 障がいのある学生は現在8名です。それに対応するため、4月から障がい学生修学支援室をオープンしました。また、障がい学生修学支援のためのピア・サポーター制度をつくり、有償の学生ボランティアを募集したところ、現在70名を超えるピア・サポーターが登録し活動しています。
 
第6は、課外活動の活性化です。
 
 正課教育と並んで、大学生活の車の両輪のひとつである課外活動を活性化することが、学生の成長を支援することにつながると考えます。「学生を生涯応援する」ビジョンの一環でもあります。
 それに対応して、課外活動の花であるスポーツ分野の活性化を目指して学生センターの中に、スポーツ振興課を立ち上げました。当面の重点として、女子スポーツの拡充を図ります。先ず、女子陸上部、アジア女子アスリートランナー部をつくります。
 吹奏楽部は、8月29日に、北京大学百周年記念講堂で日中国交正常化45周年記念「日中大学生千人交流大会」に招待され、すばらしい記念演奏を披露したばかりです。
 課外活動の応援や大学行事への協力をしている吹奏楽部のサポートを具体的に検討します。
 
 
 「社会貢献をする」というビジョンに関わって、ボランティア、社会貢献の分野では、ホスピタリティ・マネジメント学科の学生有志が2011年から東日本の被災地への旅を続けています。
 今年も、3年生5名が『灯火プロジェクト』を企画し36名でスタディツアーを行いました。
 東京オリンピック・パラリンピックへ向けて、学生ボランティアの活動をサポートします。そのため、自助協力センター準備室設置に取り掛ります。
 
最後、第7は教養教育の高度化です。(この部分は時間の関係で省略)
 
 教養教育の高度化を目指して、カリキュラム編成案と人事配置案を検討できるよう、全学共通教育委員会のもとに共通教育カリキュラム検討会議を作りました。学士課程教育の基盤としてリベラルアーツ教育を立て直します。
 2001年の教養部廃止・学部分属以降、初めて、教員の希望などに基づく所属変更を行いました。関係学部も快く諒解して頂き有難うございました。
 大綱化以降、教養・専門という科目区分は廃止されましたが、実質的には残っていると感じます。リベラルアーツ教育を充実させるため、共通教育教員の学部ゼミへの参加、教養演習単位の学部演習としての位置付けなど、抜本的に検討していただきたいと思います。教員人事計画という観点から全学的に協議していきます。
 高度化プログラム案としては、現在、体育科提案の「スポーツ科学」プログラムを検討中です。AUAPプログラムのリニューアルもこうした共通教育高度化の枠組みで検討します。
 なお、「スポーツ科学」プログラムによるコマ数増はありません。コマ数の削減計画は引続き進めていきます。
 
 これからの大学運営には、教員と職員が、力を合わせて大学運営に参画することが求められています。いわゆる教職協働です。
 
 中長期計画「アジア未来マップ2025」は教職協働によって創りました。12の国と地域から39大学、102名の参加を得ました昨年開催のアジア学長フォーラムも教職協働で成し遂げました。
 
 大学行政業務を担当している先生は職員と一緒に仕事をする中で、大学教育がどれほど事務職に支えられているかよく分っていると思います。
 履修相談や課外活動の指導など、学生の成長に関わる点で、職員も「教育者」educatorとしての仕事をしています。
 教員と職員が一緒に他大学などを視察に行くような研修の試みがあっても良いと思います。
 
 10年後にも生残るにふさわしい大学としてあり続けたいと思います。
 そして、この先、24年後の2041年は学園創立100周年です。それを祝う時の中心になるのは現在30代、40代の若手中堅の教職員の皆さんです。皆さんが展望を持って教育活動に関わることができる環境をつくります。皆さんの奮闘努力を期待し、また心からお願いしたいと思います。
 
 以上を持ちまして、3年目を迎える所信といたします。
 
 
<2017年10月30日 12時00分>