地球環境の深刻な変化と現代の生活様式が地域環境にまで影響し、文化や生態系、生物多様性にも大きな変化が生じていることを踏まえて、環境変化や文化変容の諸相を実体験し、望ましい社会的対応を考察する実習を含む科目です。
環境変化の現場体験から始まり、最終的には、社会的対応策としての環境教育の確立や環境政策立案までを含んだ構成となります。
授業は、地球環境問題の概説(座学)と、富士山清掃(実践)から成ります。座学を通じて地球環境問題の何たるかを学び、さらに富士山清掃を実践することで、環境問題の実態を自分の目で見て理解し、受講者が自分なりの取り組み方を考えられるようになることを目指します。
―問題解決は、自分の目で見て現状を知るところからスタート
国際関係学部 多文化コミュニケーション学科卒
中山 瑠美 さん(写真左)
学内での講義を経て富士山清掃を行うこの授業。私は、海外留学を経験したことが日本の伝統芸能や神社・仏閣など、日本古来の文化を見つめ直すきっかけとなり、日本で信仰の対象にもなっている富士山に興味を持ちました。富士山に登る外国人観光客が増えており、「日本のシンボル」のひとつとしても関心を抱くようになりました。
ただ、「世界遺産に登録!」と騒がれている富士山については、実は不法投棄が多いことなど、世間に知られていないもののクリアすべき課題があります。講義では、世界最高峰のエベレストでも同様のゴミ問題があり、そこでは公的な組織がゴミ対策を行っているということ、一方で日本では、いまだにボランティア主導で対処せざるを得ない状況だという違いも学びました。
さらには、「ゴミがある」という事実だけではなく、そのゴミを誤って食べた動物が死に至るケースが少なくないことなど、視野を広げて問題に向き合う大切さを認識。これらの知識を身につけたうえで富士山に行くと、不法投棄されてから30 年近く経過していると思われるビンなどを発見し、問題の根深さを目の当たりにしました。
その後、授業ではチームに分かれて対策を考え、富士山の現状を伝える環境教育や、麓での啓発活動を提案しました。他のチームでは、若い世代が楽しみながら富士山に接するための「山コン」イベントなどを考えていました。学生の個性に応じてさまざまなアイデアが生まれますが、それも現実を知ってこそ。問題を把握している人が多ければ多いほど、状況を改善できる可能性は広がっていくのだと思います。
そしてもうひとつ気づいたのは、自分の目で見て実情を知り、将来につなげるという点で、富士山清掃も海外留学も同じだということ。この想いを胸に、卒業後もアクティブに行動して見識を高めていきます。