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 日本は「エコ」な国だろうか?

 多くの人が、漠然と「日本は環境に優しい国」と考えているのではないだろうか?日本は、1970年代のオイルショック以降世界のトップランナーとして省エネを進めてきた国でもあり、また産業廃棄物を垂れ流すような企業を許さない風潮を持つ国でもある。よって、その認識は一面においては正しい。一方で、気候変動分野における日本の国際的な評価はどうだろうか?

 2016年12月、環境省及び国立環境研究所より、2015年度の日本の温室効果ガス(GHG)の総排出量(速報値)は13.21億トン(CO2換算)で、2005年度比5.2%削減となったことが公表された。このことにより、2020年度までに3.8%削減という政府の目標が達成された。しかし一方で、1990年比に換算すると約4.3%の増加であり、この数値は森林吸収分を加味しても京都議定書の第一約束期間(2008-12年)の目標値である1990年比6%削減を大幅に上回っている。そもそも日本は2013-20年の京都議定書の第二約束期間に参加しておらず、国別では中米露印に続く世界第5位のGHG排出国でありながら、2016年現在、国際的にGHGの排出削減義務を負っていない。こうしたことから、日本は毎年開催される締約国会議(COP)などの国際交渉の場でも「本日の化石賞」(気候変動に後ろ向きの取り組み・発言をした国に対して世界の環境NGOネットワークが表彰する不名誉な賞)の常連国なのである。

 もちろんこの情報はあくまで限定的である。しかし、これが「知識」である。世界からの評価を含むこの知識を得てなお、日本は「エコ」な国であると言えるだろうか。

 知識にせよ、経験にせよ、何かしらの方法で自身の立ち位置を相対化出来ることが「グローバル」なのではないだろうか。夏休みを利用して途上国でボランティア活動を行い、「日本で大学に通えていることがとても恵まれていることなんだと実感しました」と感じたのであれば、それも立派な「グローバル」である。座学・留学のみならず放課後・長期休暇も含めて、自身を相対化できるチャンス・自身の視野をグローバルにまで拡げるチャンスをこの大学生活の中でも目一杯つかんでほしい。

福嶋 崇 (国際関係学部国際関係学科 准教授)

〈2016年12月23日更新〉