▲イタリア戦で1ゴールを先制した林君(14番)
聴覚障がい者のための国際的な総合スポーツ競技大会「第23回夏季デフリンピック競技大会」がトルコ・サムスンで7月18日から30日まで開催されました。この大会に日本代表として初出場した経済学部3年の林滉大君。惜しくも予選敗退してしまったものの、日本代表はデフリンピックの地で初めての勝利を飾りました。帰国した今、サムスンでの全試合を振り返ります。
-初めてのデフリンピックを終えての率直な感想は。
「悔しさしか残っていないです。応援してくださった皆様に申し訳ないです。今回の日本代表メンバーは今までで一番強いと言われていました。それでも予選突破を果たせませんでした。自分自身、世界を知らないまま出場し、経験不足を感じました」
-初めて世界と戦ってみて感じたことはありましたか。
「世界との壁を感じました。日本の選手とは、戦法も体つきも全く違います。“勝つためのサッカー”を目の当たりにしましたし、母国を背負っている他国の選手の威圧感に負けない貪欲さが必要だと感じました」
-第一試合、ウクライナに2-1で勝利しました。ウクライナは今大会で銀メダルを獲得したチームです。
「ウクライナ戦は攻められる時間が多かったです。なかなか点が取れず焦りを感じました。しかし相手の隙をついてチームメイトが点を決めてくれました。強敵だと思っていたウクライナに勝てたのは大きな自信に繋がりました」
-第二試合はアルゼンチン戦。相手は昨年の世界選手権4位の強豪です。
「日本のミスで2点を先制されてしまいました。南米の選手はやはり一人一人の技術が高いです。この試合はアルゼンチンも負けたら敗退の瀬戸際でしたし、勝つための試合に気持ちを切り替えていたと感じます。後半に2点差を追い上げ同点に持ち込めて良かったです」
-惜しくも予選敗退が決まったイタリア戦はどのように振り返りますか。
「引き分け以上で予選突破、かつ前半を2―1で優位に終えたという甘えとスキを後半に突かれてしまったと思います。2―2になった時点で焦りからいつものプレーができなくなり、苦手なプレーに持ち込まれてしまいました」
-とはいえイタリア戦での林君の先制ゴールは、俊足を生かしたプレーで評価されていました。
「日本にいる時以上に力が発揮できたと思います。本音をいえば、前2試合でも得点をあげたかったです」
-デフリンピックを通して得たものはなんですか。
「個人的には、自分が目標にすべき選手と出会えたことです。自分と身長がさほど変わらないのに、体つきもスピードも速いウクライナの選手(9番)と対戦して自分の可能性を見つけました」
「デフスポーツの将来としては、日本はまだ伸び代があるということです。他国の選手は今大会に向けて2,3か月前からチームとして集中的に練習する環境が整えられています。チームの完成度をもっと追求できる土壌が日本のデフスポーツにも必要だと感じました」
-最後に。
「今回は強豪国相手に互角に戦える力を他国にアピールできたと思います。また、スポーツ庁長官や国会議員の方がトルコまで駆けつけて応援してくださったことは、日本のデフスポーツのこれからに希望を感じさせてくれました。4年後のデフリンピック予選突破に向けてがんばります。たくさんのご声援ありがとうございました」
林君は個人の経験だけでなく、世界に視野を広げた様々なことを語ってくれました。まだ悔しさが拭えない様子でしたが、2018年のアジア世界選手権予選、2019年のデフリンピック出場予選と大事な試合が控えており、冷静に先を見据えて闘志を燃やす日本代表選手としての強さが伺えました。
◆これまでの林君のインタビュー
・学内壮行会<
http://www.asia-u.ac.jp/asu_news/2017/07/4963/>7/12
・国際親善試合対韓国戦<
http://www.asia-u.ac.jp/asu_sports/2017/06/4885/>6/16
・デフリンピック出場に向けたインタビュー
<
http://www.asia-u.ac.jp/about/challenge/vol_4/>6/13