戻る第7回宮本賞:大学院生の部で文佰平氏が特別賞を受賞

△文佰平氏

日本日中関係学会が主催して行われた「第7回宮本賞(日中学生懸賞論文)」の大学院生の部で、12月13日、大連外国語大学大学院との交換留学派遣制度を利用して本学の国際関係学部で学ぶ文佰平氏が特別賞を受賞しました。

応募数が過去最高となった今回の審査では、大学院生の部で29の論文が応募され、内優秀賞が3本、特別賞が3本選出されました。

文氏は「『訳文学』理論に基づく日本現代詩歌の中国訳について――日本の『三行情書』を中心に――」を題目に論文を提出。日本に端を発する現代詩『三行情書』(ラブレター)が中国語に翻訳紹介され話題に上ると、中国では新たにこれに倣った『三行情詩』が誕生しました。文氏は翻訳文学から独自に誕生した『三行情詩』がネットや大学生の間で流行したことに着目し、現代詩歌を翻訳する際の注意点などを作例の特徴を分析しながら説きました。

「日本の『三行情書』の翻訳研究という初の試みに、中国で生まれた最新の翻訳理論である『訳文学』理論を新たに導入し、その理論に基づいて多角的に検討した野心的な面が評価につながったのではないか」と受賞理由を分析する文氏。中国では多くの研究者によって西洋の翻訳理論が次々と導入されたものの、「訳文学」理論に基づく日本現代詩歌の翻訳に関する先行研究は少なく、殊に新たなジャンルである『三行情書』の翻訳研究はほぼ未開拓の領域だといいます。

学部生の頃に取り組んだ又吉直樹の著作『火花』を日本語に翻訳したことをきっかけに、原作を生かしつつも文化的差異を補填し、理解を促す翻訳技術やルールを学んだそうです。そうした中で、既に中国で出版された日本の『三行情書』の中国語訳における「欠陥翻訳」および「誤訳」を目の当たりにし、翻訳理論の確立が重要であると再認識。実際に日本に身を置きながら、日本語に浴し、精神文化や生活に関して五感を通して学び、研究に役立てたいと留学を決心しました。

ほぼ未開拓の領域ゆえに先行研究、指導者も少なく、なかなか論文に取り上げられずもどかしい思いをしてきたという文氏ですが、「この受賞によって、細々と研究を続けてきたことが評価されたと嬉しく思います」と喜びを噛みしめました。また、「『三行情書』のように文化面での交流には特に温かさを感じます。研究と翻訳活動を進める傍ら、文学作品を通して中国と日本の交流を促していきたいです」と夢を語りました。
 
<2019年01月28日 16時31分>