法律学科
2026.06.25
令和7年度『亜細亜大学ティーチングアワード』受賞者インタビュー:田中謙一教授
令和5年度からスタートした、全学部生による投票結果をもとに、優れた授業を実施している教員を表彰する『亜細亜大学ティーチングアワード』(選考方法など詳細はこちら)。
令和7年度の受賞者となった3人の教員のうち、法学部法律学科の田中謙一教授のインタビューをお届けします。
田中 謙一教授 プロフィール
所属:法学部 法律学科
担当科目:民法Ⅱ、Ⅲ など
令和7年度の受賞者となった3人の教員のうち、法学部法律学科の田中謙一教授のインタビューをお届けします。
田中 謙一教授 プロフィール
所属:法学部 法律学科
担当科目:民法Ⅱ、Ⅲ など
授業を通して“物事の考え方”を提示したい
常に最善の授業方法を模索し続ける
亜細亜大学に勤続して丸10年が経ったという田中謙一先生。「節目の年に素晴らしい賞をいただくことができ、大変うれしく思っています。法学は学生の皆さんにとって親しみづらい学問だと思っているので、どうしたら興味を持ってもらえるか、理解する楽しさを伝えられるか、ということをこの10年、試行錯誤してきました」
ある日の民法のクラスでは、常に最善の授業方法を模索し続ける田中先生の姿を見ることができました。小テストの問題を1問ずつ丁寧に解説する中、正答率が10%以下の問題があり「これは教え方やプリントの説明がわかりにくかったのかもしれない」と、その場で資料を訂正し、採点方法を見直していました。
「大学の試験というのは順序をつけるために実施しているわけではないので、受講者全員がS評価でも構わないし、むしろそれが理想なわけです。試験の問題が解けなかったり、授業に集中していなかったりする学生がいたら、それはおもしろい授業ができない教員側の責任だと思って教壇に立っています」
また、ある問題を誤答した学生から回答の理由を説明するメールが届き、問題の法律を理解して深読みした結果の誤答だったことがわかった時にも、「そこまで独自に勉強して、法律の可能性を考えた末の選択であればあながち間違いとは言えない」と、個別に対処することを明かしました。
逆に学生アンケートでは、「プリントに書かれておらず、授業内で先生が話したことを試験に出題しないでほしい」という記載が印象に残ったと田中先生は言います。
「学生の皆さんがある事象を深く理解するためには、実は“限られた量”の知識を、ある意味では“不正確な形”で手にすることが重要で、そこに大学の授業の意義があると考えています。すべて書かれたプリントを作って学生に配ったら、それを見ただけでわかった気になるでしょうし、もう授業をする意味がないと思うんです。社会に出たらAIを活用して洗練された資料をつくり、仕事をするのが当たり前になってしまうので、大学で教育を受ける段階では、完璧な知識じゃなくてもいいから基礎を固め、わかったふりをしないで学ぼうよ、と伝えたいです。実社会においては何気ない対話の中で知識や情報を得ることも重要なので、それを大学の授業で実践しておいてほしいと思います」
逆に学生アンケートでは、「プリントに書かれておらず、授業内で先生が話したことを試験に出題しないでほしい」という記載が印象に残ったと田中先生は言います。
「学生の皆さんがある事象を深く理解するためには、実は“限られた量”の知識を、ある意味では“不正確な形”で手にすることが重要で、そこに大学の授業の意義があると考えています。すべて書かれたプリントを作って学生に配ったら、それを見ただけでわかった気になるでしょうし、もう授業をする意味がないと思うんです。社会に出たらAIを活用して洗練された資料をつくり、仕事をするのが当たり前になってしまうので、大学で教育を受ける段階では、完璧な知識じゃなくてもいいから基礎を固め、わかったふりをしないで学ぼうよ、と伝えたいです。実社会においては何気ない対話の中で知識や情報を得ることも重要なので、それを大学の授業で実践しておいてほしいと思います」
そう考える田中先生の授業は、プロジェクターの使用は最小限にして、黒板にチョークで書くスタイル。
「デジタルは一見すると居心地よく感じるんですけど、書くことで自分の頭の中が整理される部分は絶対にあるはず。自分も研究のためにノートに色々と手書きしますが、後で見返した時に引っかかる部分やわからないところがあり、そこでもう一段階思考を深めることができます。教育先進国と言われる北欧が脱デジタル化に舵を切り、紙の教科書や手書きへとアナログ回帰しているのはすごく理解できます」
「デジタルは一見すると居心地よく感じるんですけど、書くことで自分の頭の中が整理される部分は絶対にあるはず。自分も研究のためにノートに色々と手書きしますが、後で見返した時に引っかかる部分やわからないところがあり、そこでもう一段階思考を深めることができます。教育先進国と言われる北欧が脱デジタル化に舵を切り、紙の教科書や手書きへとアナログ回帰しているのはすごく理解できます」

トム・クルーズにあこがれて法学者に
授業ではできるだけ自分自身の経験や学生時代の思い出を話しながら、ある事象を学ぶ際にどのようなことに苦労したか、そして、それをどうやって克服したかなどを伝えるようにしているという田中先生。法学者をめざしたきっかけは、実は映画でトム・クルーズがエリート弁護士の役を演じていたのにあこがれたからなのだそう。「安直な理由ですよね(笑)。高校生の頃は、まさか自分が大学院まで進んで法律を学ぶことになるとは思っていませんでした。いまの学生は小学生の頃からキャリア教育があって、早く将来の夢を見つけようとか、やりがいがある仕事を探そうとか言われ続けるから大変です。私自身は大それた夢があったわけじゃないけど、その都度身近な目標を立ててクリアしていくことは好きでした。その結果が今の姿であり、将来の決め方は色んな道があっていいと思うんです」
また、法学の中で民法を専門にしたのは、大学教員をめざすなら民法がいい、と恩師に勧められて決めたのだとか。恩師は常に“目標への最短ルート”を示してくれたのが印象的だったと当時を振り返ります。
「大学の教員は、学生が本格的に社会に出る前に接することができる大人として、授業を通して物事の考え方を提示することが重要だと感じています。その姿を見て、学生の皆さんが知識を身につける方法を模索してくれることを願っています」
ルールを形成するおもしろさを知ってほしい
田中先生の授業で法律を学んだ学生が、その知識を将来どう活かしてほしいか聞くと、「法律は生活する上で関わらずにはいられないもの。もちろん、法律を使う場面は楽しい場面ばかりではないですが、法律の知識があれば事前にトラブルを回避できることも多いので、そこを意識してもらえたら」と、アドバイスを送ります。「法律というほど厳格なものではなくても、学校や会社や家庭、どんな共同体にもルールがありますよね。他人がルールを守らない時でも、自分はルールを守る。そして自分のルールを他人に押し付けないことが大切だと思うんです。また、社会で生きていく上では、ルールを形成する立場になる場面も絶対に出てきます。みんなが守りたくなるような優れたルールをつくれる人は、コミュニケーション能力が高く、人付き合いがうまい。相手のルールを察することができる人です。法律の学びを通して、ルールがうまく機能する場合、しない場合を知り、ルールづくりのおもしろさを感じてくれたら嬉しいです」
<2026年06月25日 15時00分>