戻る卒業生からのメッセージ(若月 利之)

若月さん

若月 利之

WAKATSUKI Toshiyuki

 

日本労働組合総連合会(連合)

平成7(1995年)年度 経営学部卒

AUAPが教えてくれたもの

私は、1992年9月よりセントラルワシントン大学で約半年を過ごしました。私にとっては初めての海外でした。

 

私がアメリカにいた1992年は、折しも大統領選挙の年で、学生の間でも誰が当選するのか、誰を応援するのかということで大変な盛り上がりを見せていました。日本では選挙の時に学生が盛り上がる等と言うことは考えられないことで、彼らの社会に対する問題意識の高さを見せつけられたことを、今でもとても良く覚えています。

 

また、セントラルワシントン大学には、AUAP以外にも海外からの留学生が多く、使い慣れない英語で彼らと多く語り合い、世界中には多くの人がいていろいろな考え方があると言うこと、そして彼らは自国のことを誇りに思い一生懸命生きていると言うことを知りました。途上国から私費留学をしている学生もいました。

 

そう言った彼らの姿をみて、余り苦労もなく過ごしてきた自分自身の自国に対する無知、世界観の狭さ、問題意識の低さに愕然しました。とても衝撃的でした。しかしそれと同時に、自分に与えられたアメリカ留学という機会の大切さを知り、そしていろいろなことを学んでいきたいという、沸き立つような気持ちを持つようになりました。その気持ちが今でも、いろいろなことに対して興味を持つという自分自身の姿勢の基本的なものとなっています。

 

 

帰国後の自分

写真1

亜細亜大学を卒業後は、幅広く世界が見られる国際的な仕事をしたいと思い、労使関係を専門にされていた私の指導教授の紹介で、労働分野の国際活動を展開している公益団体に就職しました。最初の7年間、途上国からの外国人研修生のお世話をする仕事を担当しました。彼らの殆どは海外に出るのが初めてで、初めてアメリカに行き不安だった自分を思い出しながら、彼らといろいろなことを語り合いました。時には彼らのことが理解できなかったり、自分が理解されなかったりしたこともありましたが、お互いの違いを認めることで、彼らとは尊敬し合うことが出来ました。

 

その後、今度はASEAN地域の労使関係に関するプロジェクトを2年ほど担当することになりました。ASEANの後発国(カンボジア、ラオス、ビルマ<ミャンマー>、ベトナム)には、日本とは違い未だに労働三権が全く認められていない国、労働組合のリーダーが殺害されてしまう国、労働法が機能していない国、いろいろな国があります。そういった国の人達と労使関係プロジェクトを進めるにはいろいろな苦労がありましたが、お互いのことを時間を掛けて理解し合い、最後は感謝してもらうことが出来ました。

 

その後、労働組合の書記局に職場が変わり、労働組合の国際活動に携わることになりました。そして、労働組合活動のアジア太平洋地域を統括する書記局に出向することになり、今に至っています。現在はこの地域における労働組合の青年・教育活動を担当しています。経済のグローバル化によって格差問題は世界中で深刻化していますが、特に若年・女性労働者が特にその煽りを受けています。私自身の活動はこれからになりますが、この地域のそう言った人達が、やり甲斐のある仕事に就け、生き甲斐のある生活を送れるために、これからも微力ながら頑張っていきたいと思っています。

 

私自身、まだまだ至らない部分ばかりです。しかし、相手のことを知り、そして自分は何をしないといけないのか、ということを考える自身の姿勢は、アメリカでの衝撃的だったあの感覚によることは間違いなく、今でもこうして私が仕事に携わる上で基本的なものとなっています。

 

ある有名なスポーツ選手が、「勝つために相手を知ることはとても大事なこと。しかし、それは相手が何を考えているかを察することで、それは思いやりという姿勢と同じ。」と話していることを聞いたことがあります。そのとおりだと思います。今でさえ、分かっていてもなかなか出来ることではないと思います。しかし、アメリカでの経験を通じてそれに気がついて、常に意識できるようになったのは、AUAPに参加して得たとても大きな成果でした。新しい自分の発見でした。

 

そして、これまでに世界中の多くの人と友人となることが出来ました。研修事業、ASEANの労使関係プロジェクト、そして労働組合活動を通じて出来た友人は、私にとってとても大切な存在です。時としては自分を振り返る鏡のような存在であったりします。また、彼らとのやり取りは当然英語です。国際的な場面でのコミュニケーション手段としての英語は、AUAPの時に基礎が出来たというのは言うまでもありません。

 

 

今後の自分

AUAP以後、これまでに約30の国や地域を訪問しました。もしAUAPに行かなかったら、世界観を広げたいと思ったかどうか分かりません。でも、今はいろんな事を知りたいと思っていますし、それによって自分自身や日本という国を見直すことも多くあります。しかし、世界はまだまだ広い、もっといろんな国に行って、その国の人達と接し、違う文化に触れて、多くのことを学びたいと思っています。

 

そして、大変な環境で働いている人が世界中にはたくさんいます。そう言った人達の気持ちを考えながら、今携わっている労働組合活動を通じて、一人でも多くの人が働きがいのある仕事に就いて、生き甲斐を持って生活をしていけるように、微力ながら頑張っていきたいと思っています。そして、5年後10年後の世界がすこしでも良くなってくれればと願っています。

 

 

これからAUAPに参加しようとしている後輩の皆様へ

これから、グローバル化はますます進んでいくことでしょう。多くの変化にも対応でき、英語で自分の意思を伝え、背景の違う人達のことを尊敬し理解出来る人材がますます求められていくと思います。これは、仕事をする場所が海外だろうと日本だろうと同様です。「行きたい」という意思があればアメリカ留学を実現してくれるAUAPは、日本中に数ある留学のチャンスの中でも、最も門戸が広く開放されたプログラムだと思います。これからの日本を担う多くの若者に、積極的にAUAPに参加して欲しいと思っています。そして、英語だけではなく、いろいろな考え方を学んで、世界に羽ばたいてくれることを願っています。

 

※肩書は執筆当時のものです。

〈2014年4月1日更新〉