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インターナショナルセンター
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AUAP経験者(平成9年前期/イースタン・ワシントン大学留学)として後輩達に何かメッセージを、そう依頼されて久々に10年前のアルバムを引っ張り出しました。
小さな頃から漠然と「海外に行ってみたい、国際的に活躍できる職業に就きたい」そう思っていた私にとって、亜細亜大学の留学システムであるAUAPはとても魅力的で待ち遠しく、実際始まったアメリカでの生活もホームシックとは無縁の楽しい毎日でした。
ただ、私が寂しい思いをせずにすんだのは、ルームメイトや新しく出来た友人たちに恵まれたおかげかもしれません。ルームメイトのエイミーは、学校が休みの度に私を彼女の故郷に連れて帰り、家族や親戚とのアメリカ式イベントに誘ってくれたり、つたない英語に嫌な顔一つせずに付き合ってくれました。エイミーのベッド脇の壁一面には家族や友人から届いた大事なカードが貼られていました。クリスマス、イースター、誕生日。イベントの為に贈り合うカード、そんなこと一つとっても私には新鮮な習慣で、私も何かあるごとにエイミーとカードを交換したものです。
私のアルバムにあるのは、彼女と行った湖での一コマ、親戚一同が集まったバーベキュー、彼女のご両親や祖父母のポートレイト、広い庭で駆け回るペットの犬と小さないとこ達、部屋でジャンクフードを食べながらテレビを見て笑い転げるエイミーの姿...一枚一枚に思い出が詰まっています。
出来上がった写真を一緒に見ながら笑ったり、エイミーの家族のために焼き増ししたりして、写真を通し帰国後もやり取りを続けたものです。最後まで完璧な英語で会話することは出来ませんでした。でも共有した時間でお互いに受けた刺激はとても大きなものでした。
日本に帰った私はそれまで考えていた「国際的な仕事」というのが、なんだか曖昧な気がしてきました。英語が喋れるようになればいいのか。それとも海外で働ければそれでいいのか。「何か」が無ければ日本にいても海外にいても同じなのではないか。どこにいても自信を持って「私のやりたいことはこれだ」と言えるのは何だろう?悩んだ末見つけた答えが、ずっと好きだった写真を使って人にものを伝える事が出来る「photographer」という仕事でした。
アメリカでの英語の勉強や初めて見る文化に触れたことはもちろん、AUAPは今の私に大きな影響を与えています。でもそれ以上に、何かを伝え、人とコミュニケーションを取ることの楽しさを知ったことが大きい。AUAPに行ったことによって、私にとってその手段が「写真」だと知ることができたのでした。加えて、留学中だけで撮影したフィルムが100本近くになったこと、それがAUAPの間にどれだけ私の心が動かされることがあり、シャッターを押さずにはいられなかったかを表しているような気がします。
卒業後も撮り続けている写真は、書籍カバーや個展でご覧いただけます。
※肩書は執筆当時のものです。
〈2014年4月1日更新〉