経済学科
2026.06.25
令和7年度『亜細亜大学ティーチングアワード』受賞者インタビュー:加藤一彦教授
令和5年度からスタートした、全学部生による投票結果をもとに、優れた授業を実施している教員を表彰する『亜細亜大学ティーチングアワード』(選考方法など詳細はこちら)。
令和7年度の受賞者となった3人の教員のうち、経済学部 経済学科の加藤一彦教授のインタビューをお届けします。
加藤 一彦教授 プロフィール
所属:経済学部 経済学科
担当科目:ゲーム理論、産業組織論 など
令和7年度の受賞者となった3人の教員のうち、経済学部 経済学科の加藤一彦教授のインタビューをお届けします。
加藤 一彦教授 プロフィール
所属:経済学部 経済学科
担当科目:ゲーム理論、産業組織論 など
経済学の理論は意外と理解しやすいんです
簡単なゲームやなぞなぞから授業を始める
「難しい内容をできるだけラフなスタイルで教えてくださったのでとてもわかりやすかった」という学生アンケートが届いたのが、ゲーム理論や産業組織論、ミクロ経済学を教える加藤一彦先生です。2006年に大学教員になって以来20年間、亜細亜大学の教壇に立ち続けています。「私が教えている科目では、経済学で使われる理論を取り扱うことが多く、学生にとってハードルが高いように思えます。そのため、講義資料や練習問題にアニメや漫画のキャラクター、スポーツ選手などの名前を使うなどして身近に感じてもらい、少しでもそのハードルを下げるような工夫をしています」。
特に「ゲーム理論」では、設問に登場するのはゲームのプレイヤーを「プレイヤー1」「プレイヤー2」といった表記で表すのが多いところを、「ドラえもん」「のび太」などイメージしやすいプレイヤーに置き換えて理論を説明していきます。
講義テーマに沿ったゲームやなぞなぞを実施してから授業に入るのも加藤先生の授業の特徴。じゃんけんやトランプを使った簡単な対人ゲームを最初に体験することで、経済学の理論に登場する人物や企業の選択行動が理解しやすくなります。
たとえば、じゃんけんでも、何を出して勝ったかによって得られるポイントが異なるじゃんけん(グーで勝てば3ポイント、チョキやパーで勝てば6ポイント)の場合、通常のじゃんけんと比べて手の出し方が異なります。解説の前に実際にこのじゃんけんを複数回実施することで、学生の反応はとても良くなります。
厳密さよりもわかりやすさを重視して学びを身につけやすくしたい
「ほとんどの学生が卒業後すぐに社会に出て行くので、授業では『100%正しいこと(厳密さ)』よりも『90%程度正しいこと(わかりやすさ)』を伝えるように心がけています。研究者でもある大学教員にとっては厳密さは極めて重要なものなので、時間を取って丁寧に説明しようと考えてしまうのですが、初学者にはそれでもとても難しく、メインの内容に入る前に多くの学生がギブアップしてしまいます。これは非常にもったいない。
だったら、多少の厳密さは犠牲にしても、わかりやすくおもしろい部分をメインに教えた方が学生のためになるのではないかと考えました。これで興味を持って自分で勉強し始めてくれれば成功です。さらに授業中に私の説明を聞いて『アイツの説明は正しいのか?』と疑問を持ってくれるようになれば大成功です」
先生がわかりやすい授業を強く意識したのは、コロナ禍の頃。それまでは学生の顔を見て授業をするのが当たり前だったのがオンライン授業になり、コロナが明けて対面授業を再開した時に、以前よりさらに学生の表情の変化に敏感になったそうです。
「コロナ前と同じように授業をしているつもりが、学生の反応が想像と違った時も出てきて、もっともっとわかりやすく、簡単に理論を伝える授業をしないとだめだと感じたんです」。
その結果が、冒頭のような「難しい内容がとてもわかりやすかった」というアンケート内容につながっています。
「コロナ前と同じように授業をしているつもりが、学生の反応が想像と違った時も出てきて、もっともっとわかりやすく、簡単に理論を伝える授業をしないとだめだと感じたんです」。
その結果が、冒頭のような「難しい内容がとてもわかりやすかった」というアンケート内容につながっています。

ゲーム理論の魅力は「万能じゃないところ」
加藤先生に、ゲーム理論の魅力を聞くと「万能じゃないところ」という答えが返ってきました。「完全に利己的でコンピューターのように正確で素早い計算能力を持つ人間同士が対峙した時に、どのような結果が起こるのかを数字で理路整然と教えてくれるのがゲーム理論。その結果が、現実世界でも受け入れやすい場合もあれば、かなり現実離れして受け入れがたい場合もある。その“万能じゃない”ところが好きですね」
「ただ、私はあくまでゲーム理論を使う側であって、『ゲーム理論家』ではないです。ゲーム理論の研究は、超天才じゃないと太刀打ちできない分野なので。学生時代の指導教員や仲間と話していると、頭の回転の速さにビックリします。今まで彼らの前で研究発表する機会が何度かありましたが、彼らは私と専門が異なっているにもかかわらず、私の理解のはるか先をいく質問をするので返答に困ることがしばしばありました。
そのような超天才たちが専門としているゲーム理論は、私のような一般人でも教えられるほど考え方は明快でわかりやすいんです。そのため、ゲーム理論は経済学にとどまらず、さまざまな学問でも用いられています。先ほどの“万能じゃない”ところが好きと言いましたが、社会心理学ではこの点に関連した実験研究も行われています」
グループワークの経験を活かして社会に出てからも経済学を活用してほしい
他の学生アンケートでは「ペアでの学習など、皆が授業に参加できる形が良かった」「グループワークで絆が深まり、自分たちで考える力が身についた」「友達以外とも話す機会を作ってくれるので、コミュニケーション能力の向上にもつながった」といったコメントも見られました。
「産業組織論の授業では、ライバル企業と競争しているという設定下で自社の儲けを増やすためにはどのような工夫が必要かについて、チームを作ってアイデアを出し合ってもらいます。
例えば、亜細亜大学の中に新しいカフェをつくるとしたら、どういうカフェがいいかという課題であれば、いまあるカフェの特徴をとらえて顧客を取り合わないようなサービスや商品、価格を考えてアイデアを出し合います。仲のいい友達同士で固まってしまうと色々なアイデアが出にくくなるので、あえて普段接点がないような相手とチームを組んで新鮮なアイデアを出し合ってもらうこともあります。最終的にどのアイデアが一番いいか学生の投票で決めて、点数に反映させました」
加藤先生がグループワークを大切にしているのは、学生が社会に出てからも経済学を活用してほしいという思いがあるからだと言います。
「社会に出たらチームやグループで課題に取り組むことが多くなります。そこでは自分の意見をしっかり持ち他者へ伝える力とともに、他者の主張も理解する力が必要となるでしょう。私の授業では“経済学”という共通言語を使って、その演習を行っています。経済学の理論や考え方を基準としてグループワークを進めることで、無駄な時間や労力を減らすことができて時短になり、建設的な議論ができるはず。理論は数式を使って説明されることが多く、難しいと思われがちですが、内容自体は理解しやすいものが多いので、ぜひ勉強して活用してほしいです」
「産業組織論の授業では、ライバル企業と競争しているという設定下で自社の儲けを増やすためにはどのような工夫が必要かについて、チームを作ってアイデアを出し合ってもらいます。
例えば、亜細亜大学の中に新しいカフェをつくるとしたら、どういうカフェがいいかという課題であれば、いまあるカフェの特徴をとらえて顧客を取り合わないようなサービスや商品、価格を考えてアイデアを出し合います。仲のいい友達同士で固まってしまうと色々なアイデアが出にくくなるので、あえて普段接点がないような相手とチームを組んで新鮮なアイデアを出し合ってもらうこともあります。最終的にどのアイデアが一番いいか学生の投票で決めて、点数に反映させました」
加藤先生がグループワークを大切にしているのは、学生が社会に出てからも経済学を活用してほしいという思いがあるからだと言います。
「社会に出たらチームやグループで課題に取り組むことが多くなります。そこでは自分の意見をしっかり持ち他者へ伝える力とともに、他者の主張も理解する力が必要となるでしょう。私の授業では“経済学”という共通言語を使って、その演習を行っています。経済学の理論や考え方を基準としてグループワークを進めることで、無駄な時間や労力を減らすことができて時短になり、建設的な議論ができるはず。理論は数式を使って説明されることが多く、難しいと思われがちですが、内容自体は理解しやすいものが多いので、ぜひ勉強して活用してほしいです」
<2026年06月25日 15時00分>