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結婚したい人は
ほんとうに
少なくなったのか?

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#亜大の研究
松木 恵子 准教授
経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科
2026.01.01
シリーズ企画「面白くなければ学問じゃない!」では、亜細亜大学の教員陣の研究内容やエピソードを紹介します。第20回の特集は、経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科 松木 恵子 准教授です。
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ご縁で結ばれた「名古屋」への進学と「リクルート」への就職

私は神戸出身なのですが、高校生の頃、東京の大学に通う兄のところに遊びに行って、あまりにも人が多いことに恐れをなしてしまい「東京の大学はやめよう」と思っていました。ただこのまま実家にいるのもつまらないと考えて、中間地点にある、そして親の経済的な負担も考えて国立の名古屋大学経済学部に入りました。
それまでまったく縁がなかった名古屋という土地でしたが、そこで過ごした大学4年間は忘れられない日々となりました。大学時代に旅の楽しさを覚え、やがてバックパッカーとしてアメリカやヨーロッパを巡ったりもしました。大学生は時間も自由もたくさんあります。知らない土地を訪ねる体験はただひたすら楽しかったです。でもやがてそんな日々にも終わりがやって来ることを知ります。そして私は「自由」を手放したくなくて、いったん始めた就職活動を途中でやめてしまうのです。
その結果、卒業式時点では、友達の中で私 1人だけ進路が決まっていない。当たり前ですよね(笑)。心配した両親からは「就職しないのなら勉強すれば」とアドバイスされ、それもそうかと思って実家から通える神戸大学の研究生として大学時代に興味を持った心理学を学ぶことにしました。
 研究生として学ぶ日々、心理学の勉強自体は面白かったのですが、仲間と共に過ごしたあのすばらしい4年間はもう戻ってこないと気付きます。そんなタイミングで大学時代の親友から声をかけられました。彼女が勤めている株式会社リクルートに来ないかというお誘いです。8月頃に社員の方数名と面談したのですが、なんと最初の面接官はT シャツ&短パン姿。「めっちゃいい会社!」と思いました(笑)。学部時代に経験した金融や放送局などの面談とはまったく違って、面接試験でも志望動機などは聞かれず、最終面接で面接官に握手を求められ内定が決まりました。
今となってはお恥ずかしい話ですが、私の場合、大学進学も、就職も、たまたまの「ご縁」で結ばれたものだったのです。

『ゼクシィ』編集者としてブライダル市場を広く、深く知る

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入社後は神戸支社と関西支社で採用関係の営業職を振り出しに、人材派遣会社への出向や新卒採用の商品企画などさまざまな仕事を経験しました。そして4年目に自ら手を挙げて、東京本社での総合結婚情報誌『ゼクシィ』の編集職を希望しました。関西支社の上司の1人であった編集長は仕事への情熱があふれる尊敬できる方で、またずっと関西で働いてきて、規模として巨大な首都圏のマーケットに挑戦したい私の気持ちを後押しして異動を応援してくれました。目標はカスタマー(顧客)に寄り添って考える編集者。結婚・ブライダル文化への関心というより『ゼクシィ』編集部という環境を求めて異動を希望したのです。そのことが現在、大学教員・研究者としての専門分野につながっているのですから、これも大学や就職と同様の「ご縁」だったわけです。
『ゼクシィ』編集部ではトータルで7年ぐらい働きました。結婚やブライダルの月刊誌は毎年同じようなテーマで記事を展開しているように思われるかもしれませんが、実は結婚式や新婚旅行、マナーなど同じテーマでも毎年のトレンドは変化し、しかも読者は毎年入れ替わっています。そうした読者とトレンドの変化を的確に記事に反映させるため、編集部ではほぼ毎月、読者層のグループインタビューを行っていました。大変でしたけれどまさに自分が希望したカスタマーに寄り添う編集の仕事に取り組めたので充実感はありました。やがて海外・国内リゾートウエディング領域の編集長を任せられるようになりました。
その後、私は会社を辞めて大学院に進学します。リクルートには会社を辞めてステップアップする企業風土があって、私も次のステップを踏み出したくなったのです。その大きな後押しになったのは、仕事でお世話になっていたお客様であるホテル支配人から「ステップアップを考えているなら大学院に行ってみたら?」とアドバイスされたことでした。
大学院では大学生のとき以上に勉強しました。やはり社会人経験を経ての学び直しは楽しかったです。若い同級生やさまざまな業界の社会人経験者との交流もありました。しかも研究室の担当教授とはほぼマンツーマンで、おかげでその先生の研究に取り組む姿勢や情熱までが伝わってきました。その経験がなければおそらく私は研究者になれなかったと思いますし、現在のように学生の卒業論文指導もできなかったでしょう。
修士論文のテーマは「日本人海外旅行者におけるハワイへの観光動機」。大学院修了後はフリーランスとしてブライダルや観光に関する施策立案・アドバイス、マーケットリサーチなどの経験を積み、日本人の新婚旅行先としても人気のハワイ州観光局のウエディングアドバイザーも務めました。

会社を辞めての「学び直し」から大学教員・研究者の道へ

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亜細亜大学の教員となってからは、自分が教えている学生に近い若い世代の恋愛観や結婚観に関する研究にも取り組んでいます。
ネットを眺めていると「若い世代は結婚に消極的」という情報に多く接します。しかしそれは本当なのでしょうか? 私は毎年、1年生の授業で「みんなは結婚したい?したくない?」と質問しているのですが、およそ85%の学生が「結婚したい」と答えます。本学にかかわらず若い世代は結婚に関して決してネガティブではありません。また同じ消極的でも、結婚「できない」と「したくない」ではまったく別の話です。
今の学生は実にまじめで、男性は奨学金などの「借金」を抱えた状態では相手に迷惑をかけるので結婚には踏み切れないといいます。一方、女性は好きな人にプロポーズされたら結婚したいという人が大半です。恋愛や結婚に関してトレンドはありますが、本質的な男女の恋愛・結婚観は意外なほど昭和世代と変わっていないのかもしれません。私はなかなかプロポーズできないまじめな男子学生に対しては「借金なんて二人で頑張って返せばいいの。この人とずっと一緒にいたいという純粋な気持ちで、結婚したいと思ったときにプロポーズをしなきゃ、一生結婚できないわよ」と言いたいですね(笑)。
そして研究者としては、そうしたまじめな男性に(もちろん女性も含めて)プロポーズさせる「機会」と「場所」を提供してあげることがこれからのブライダル業界にとって重要になってくるのではないかと思っています。このテーマに関しては授業やゼミの学生たちの意見を聞きながら今後も考えていくつもりです。
近年の研究では「コロナ禍で若年層の恋愛観、結婚観は変わったのか?」というテーマで論文を書きました。この研究では未婚男女(25〜39歳)を対象に幅広くインターネット調査を行いました。2020年の緊急事態宣言以降、外出を控えているうちに人と会うのが面倒になったと思う人は少なくないと思います。私の調査の結果でも、確かに「恋愛や結婚が面倒で興味を持てなくなった」人が増加していました。当時は「オンライン結婚式」サービスなども登場しました。しかし現在、結婚式場の方々にお話をうかがうと挙式数はコロナ禍前のペースに戻っているということでした。今後の傾向として昔のように大勢の招待客を呼ぶタイプは減っていき、家族だけの式やカジュアル化が進むと思います。しかし、結婚式というビジネスは決して衰退していないですし、国内外のリゾートウエディングを含めて若い世代のカップルに自分たちの幸せを実感できる「機会」と「場所」を提供してあげるアイデアを生み出すことで、新たなビジネスチャンスが広がるのではないかと考えています。

自分を知る。他人を知る。そして社会を知る

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大学教員として、私は自分自身の体験から学生に学問だけでなく、バイトや趣味、恋愛も十分に満喫してほしいと思っています。そして2年生からのゼミ・演習では一人ひとりの感性を磨き、考える力を伸ばすことを中心に指導しています。まず大学生になったからには本を読む力をつけてほしいと思っていて、2年次前期の演習では半年間、毎週1冊ジャンルは問わず好きな本を読んでもらい、次に出版社のPR担当になったつもりでその本の面白さや魅力をプレゼンしてもらいます。つまりインプットとアウトプットです。それから、今の学生はスマホで本を読むことがあるみたいですが、私は紙世代の人間でその良さも知っていますので、若い世代にも「紙の読書」で得られる知をぜひ体験してもらいたいと思っています。「先生、私、本を読むのが好きになりました」と学生に言われたときは思わずガッツポーズが出てしまいます!
そして後期は自己分析ならぬ「他己分析」をやってもらいます。グループでお互いを分析していくと、自分が思っている自分像とほかの人に見えている自分の像が違うことに気付きます。そこからあらためて自分を見直す視点を獲得することができるわけです。
読む力と考える力、そして自分と他人を知る経験をしたゼミの学生たちは、3年次以降、観光やブライダル関係の企業との産学連携による実習などで、社会・社会人と触れ合い、具体的に企業が抱える課題を解決するプロジェクトに挑戦してもらっています。学生たちのアイデアが実際に実現されたケースもあり、私自身も学生たちの斬新な発想からはいつも刺激をもらっています。ゼミ出身者を含めて卒業生がしばしば研究室に遊びにきてくれることも私にとっては喜びで、いつでも大歓迎! 社会でさまざまな苦労があったとき、ホッとするために「帰ってくる」場所でありたいと思っています。実際に観光やブライダル関係で活躍している卒業生もたくさんいます。
最後に、これから大学に入学する人たちに一言。大学には高校や社会にはない何にでも挑戦できる「自由」、自分の未来を自分で決められる「自由」があります。人生でもっとも大切な時期かもしれません。なかなかうまくいかなくてもいいんです。時には失敗したり、迷ったりしながらも最高に楽しい4年間を過ごしてください。
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