
スリランカ出身のチャトウリカさんは、地元の会計専門学校で学び、
ドイツ系の企業で「会計管理者」という責任あるポストで働いていました。
30代になった彼女はさらなるキャリアアップを目指し、
国際的な公認会計士の資格を取るために日本への留学を決意しました。
留学前の思いから、詳しくお話を伺いました。
スリランカの会計専門学校を卒業後、企業の会計管理者として8年間働いてきました。国際的な公認会計士の資格を取得し、いずれは起業したいという夢があり、会計と経営の両方を専門的に学ぶために、日本への留学を決意しました。
スリランカ出身のチャトウリカさんにとって、日本は未知の国でした。しかし、6年前、妹のチャマリさんが亜細亜大学への入学を果たしたこともあり、自分も留学してみたいという気持ちがむくむくと湧き上がりました。当時、会計管理者として働いていた彼女ですが、会計をさらに究めて、いつか国際的な公認会計士の資格を取得したいという夢を持っていたのです。
「スリランカでは、外で働く女の人は多くありません。結婚し、旦那さんを支えて子育てをしていることが多いんです。ですから、企業で8年も働いている私は珍しいほうだと思います」。
ドイツ系企業で8年のキャリアを積み、順調にキャリアアップしていた彼女は、会社をやめて留学するかどうかで悩んだこともありました。そんな時、背中を押してくれたのは家族だったとチャトウリカさんは語ります。
私の家族はあまり社会の流れや文化にとらわれないんですね。『やりたいことがあるならがんばりなさい』と応援してくれました」。
亜細亜大学にはアジアを中心とするさまざまな地域からの留学生がやってきますが、日本での大学教育を受けるための準備として、日本語能力と英語能力の修得を目的とした 1年間の「留学生別科」が用意されています。まずは、留学生別科で日本語を身につけるための1年間がはじまりました。
「本当に忙しい1年でした。朝9時から夕方までの授業と、たくさんの宿題で……。具合が悪くて2回ほど休んだことがありましたが、休んでしまうとその後追いつくのが大変でした。でも、今振り返ると私にとっては厳しいくらいの方がちょうどよかったと思います。日本語がしっかりと身に付きましたから」。
また、当時のクラスには、フィリピン、アメリカ、ポーランド、韓国、中国など、多彩な国からの留学生が集まっていました。ずっとスリランカに住んでいては分からなかったようなことも、彼らとの交流で知識を得ることができ、それだけでも「留学してよかった」と感じたそうです。
留学生別科を終えた春休み。チャトウリカさんには特別に、別科の先生から宿題が出されました。それは4月から経営学部の授業を受けるにあたって、日本語で経営学を学ぶ際に必要なこと…。チャトウリカさんを気にかけて、先生は入学後に困らないように参考書まで選んでくれたそうです。
「先生には本当にお世話になっています。今でも何か困ったら両親にメールする前に、まずは先生に相談しています。家族のように、親身になっていろんなことを教えてくれます」。
晴れて経営学部の1年生として入学を果たしたチャトウリカさんは、日本人の学生たちと「出会いの広場」で初めてコミュニケーションを取ることになりました。最初はかなり緊張したそうです。
「それまでは留学生同士しか話したことがなくて……でも、日本人の学生たちも緊張しているのが伝わってきて、大丈夫でした。今ではたくさんの友達に恵まれています」。
20代が多い大学生にとって、30代のチャトウリカさんは“お姉さん”ですが、あまり世代のギャップを感じることもなく仲良くしているといいます。亜細亜大学にはチャトウリカさんの妹さんが先に入学していたこともあり、妹さんの知り合いからは「チャマリのオネーチャン」と親しみをこめて、呼ばれることもあるのだとか。
2年生に進級したチャトウリカさんは、時間に少しだけ余裕ができて、アルバイトをはじめました。スーパーの食品売り場での仕事ですが、なんと偶然にも店長が亜細亜大学経営学部の先輩だったのだそう。とても理解があり働きやすい環境で、お世話になっている大学の先生が買い物に来ることもあるそうです。
大学の行事にも積極的に参加するようになりました。特に、国際交流パーティーへの参加は思い出に残ります。スリランカの料理、チキンカレーとフライドポテトを家で作って持って行き、みんなに食べてもらいました。本場スリランカのカレーは特に辛いのですが、「それでも、みんなに美味しく食べてもらった」と嬉しそうに話してくれました。
2年次に履修した「会計管理」の授業では、学んだことをスリランカでの経験と結びつけることができ、あらためて会計が好きだということを認識したチャトウリカさん。彼女の目標は、さらに大学院まで進み、国際的な公認会計士の資格を取得すること。そして、いつかは母国スリランカで「アーユルヴェーダ*」製品を他国に販売する会社を家族で起業したいといいます。日本に来て学ぶことによって、彼女の夢は着実に広がっています。
*アーユルヴェーダ:インド大陸の伝統医学。心身ともに調和の取れた生活健康法として 長く受け継がれてきている。
大学院を出て、国際的な公認会計士の資格を取得するのが目標です。そして、母国スリランカで「働く女性」として仕事を楽しみたい。日本とスリランカの間をつなぐ役割も果たせると良いなと思っています。そのためには、学ばなければいけないことがまだまだたくさんあります。
亜細亜大学は、一生懸命勉強したい人にはオススメの大学です。そして何より、日本は安全な国。留学生をサポートしてくれる人たちはみんなとても親切で優しく、困ったら助けてくれる素晴らしい環境です。