

2016年に新たに誕生した都市創造学部は、建築、経済、環境、情報、制度など、都市を構成するコンテンツを多角的に学べる、新たな学問領域を掲げています。子どもの頃から都市計画に関心のあった藤田さんは、都市創造学部の一期生として入学を果たしました。2年次の海外留学と海外インターンシップが必修となる都市創造学部の学びで、彼女はどんなことを得ていったのでしょうか。
最初は都市をイチからつくるシミュレーションゲームの連想から「ビルを建てて街を創っていくのは面白いな」という単純な思いを持っていただけだったのですが、実際に進路を決める際、本格的に都市計画を学べる学部を意識して探すようになりました。中でも、亜細亜大学の都市創造学部は半年間の留学が必須だということも魅力的でした。
藤田さんは、都市創造学部都市創造学科の一期生です。一期生ということは、先輩が一人もいないということ。授業を選択するにしても、どんなものを選んでよいかわからず不安でいっぱいでした。そんな不安を一気に吹き飛ばしてくれたのが、新入生オリエンテーション「出会いの広場」です。
「二泊三日、鬼怒川温泉で行われるということで、最初は『温泉に行ける!』と軽い旅行気分で喜んでいたのですが、よくよく考えたら知らない人と寝泊まりするということで最初は緊張しました。でも、班付きの補助学生である先輩たちが都市創造学部について丁寧に下調べして教えてくださったので、大学生活への不安がなくなりました。『出会いの広場』がなかったら今の大学生活はなかったと思います」
藤田さんは先輩方への感謝の思いから恩返しがしたいと思い、来年は自分が後輩たちに教える側になろうと決心。「出会いの広場」をプロデュースし、運営する「新入生研修委員会」に参加することにします。
「『出会いの広場』は、教員と職員、学生の三者の協力があって成り立つもの。運営側に回ってみると、こんなに大変な苦労があるのだと身にしみて実感しました。それでも笑顔で帰っていく新入生を見ると、『出会いの広場』に関わることができて本当によかったなと毎回思います」
都市創造学部は2年次の後期で留学することが決まっているため、1年、2年と留学先の言語を必修で学んでいきます。留学先はアジア諸国かアメリカから選ぶことができるのですが、幼少の頃、アメリカや香港に住んだ経験を持つ藤田さんは、あえてまったく馴染みのなかったタイへの留学を決意します。
「父の転勤の関係で幼稚園入園前までアメリカ、幼稚園から小学校2年生くらいまで香港にいました。香港では日本人学校に通っていたのですが、水泳と図工の授業だけは全部英語でした。その後、帰国してからも英語のヒアリングだけは馴染みがありました。だから、できれば留学するなら、英語以外で新たにチャレンジできる言語にしたいと思いました。家族とも相談して、最終的に親日国家のタイを選びました」
タイ語の第一印象は「ニョロニョロした文字」だったという藤田さん。言語の基本中の基本、文字を覚えることから、一生懸命学んでいきました。
2年生の8月、無事に留学先であるタイのバンコク大学へ向かった藤田さん。旅行でプーケットに行ったことはあったけれど、タイのバンコクは初めてだったそう。
「バンコクがあんなに都会だとは思ってもみませんでした。台湾や韓国など他の国から来た留学生もたくさんキャンパスにいて、すぐに仲良くなりました。タイでは現地の人から英語で話しかけられることがほとんどだったのですが、あえてそこはタイ語で返事をして、少しでも学んだ言語を活かそうとして頑張りました」
いちばん印象に残っている授業は、タイの文化を学ぶ「タイ・スタディーズ」。毎週、タイの文化を体験しながら学ぶもので、タイ料理をみんなで一緒につくって食べたり、タイのダンスに挑戦したりと実践型の授業で、毎週楽しみにしていたといいます。
4ヶ月間の語学研修のあとは、1ヶ月間の海外インターンシップで留学の総仕上げを行います。藤田さんが選んだインターンシップ先は、日本人が代表を務める会計事務所でした。
「代表以外はすべて現地の人たちだったのですが、良い意味で、タイのゆるくリラックスした職場環境が印象に残りました。こういう異文化を体験することができたのは貴重な経験だったと思います」
タイでの学びとインターンシップで培った、かけがえのない経験。2018年2月に帰国した藤田さんは、授業での報告会やオープンキャンパスなど、さまざまな場所でタイ留学についての報告を代表して行いました。そこで使用したパワーポイントは先生方から褒めてもらえるほどの完成度の高さでした。
「『コンテンツ制作論』の授業で、毎回、先生が見る人を惹きつけるパワーポイントを作っていらして、それを見よう見まねで作りました。パワーポイントは作り込めば作り込むほど面白いんです。先生の授業を受ける前と後では、資料の作り方が大幅に変わったことを実感しています」
※留学先は取材時点のもので、今後、留学先に変更が生じる場合があります。
留学を経て、藤田さんは今、ゼミで「日本とタイのインバウンド観光についての取り組み」をテーマに、多角的に取り上げることを模索しています。現在、日本は2020年のオリンピック開催を目前に、世界各国からの観光客の受け入れ施策をさまざまに行っていますが、藤田さんから見ると「タイ語での案内がまだまだ足りない」といいます。日本人が想像するよりもはるかに多くの観光客がタイから訪れている昨今、藤田さんは「訪日外国人観光客の快適な滞在に関する施策には、改善の余地があるはず」と考えています。
現在、3年生の藤田さんは就職活動の準備中。就職ガイダンスや内定者と語る会、就職試験対策講座、企業でのインターンシップなど、学内で行われている就職関連のプログラムに積極的に参加しているそうです。今いちばん興味を持っているのは、海外にも進出するような大規模な商業施設の開発事業を行う企業です。タイ留学中には、現地に日本から進出しているショッピングモールを訪れることもよくあり、気になっていたのだそう。
「都市計画では、よく“面で考える”という話をします。ただ単に建物を建てて都市を構成するだけでなく、その中で生活する人々の行動についてまで考える仕事に魅力を感じています。将来は日本というフィールドにこだわらず、広い視野で仕事に取り組める企業で働きたいと思っています」
特待生として入学することができたので、卒業まで特待生のまま頑張っていきたいです。社会人としては、多角的に物事を考えられる人になりたいですね。留学は自分の価値観だけでなく、将来の選択肢を広げてくれるものでした。これを糧に、就職活動も頑張っていきます!
どんな4年間にするかは自分次第。いろんなチャンスを積極的に活用してもらえたらと思います。都市創造学部では、グループワークやフィールドワーク、海外留学、海外でのインターンシップなど、さまざまな学びが用意されています。このチャンスをぜひ掴み取ってください!