経営学部

2022.12 取材

大好きな日本で得た経営の知識と経験
起業の夢を叶えるための挑戦も始めています。

大好きな日本で得た
経営の知識と経験
起業の夢を叶えるための
挑戦も始めています。

2019年度入学

ウン・ケンホウイ

経営学部 経営学科4年

マレーシアの中でも日本人が多く住む地域で育ったウン君は、幼少期から親しんだ日本食をきっかけに、いつしか日本文化が大好きになったそうです。英語圏への留学を勧めていた親に「どうしても日本で学びたい」と入念な留学計画書を準備して説得、日本語学校での1年間の勉強を経て亜細亜大学に入りました。熱意と行動力に満ちあふれた大学生活を振り返ってもらいました。

経営学部 経営学科を
選んだワケ

「日本で起業したい」という夢があり、経営を学べる大学を探していたところ日本語学校から亜細亜大学を勧められました。留学生を歓迎してくれるような制度や環境、そして「自助協力」の建学精神にも強く惹かれました。

ウン君の亜大ハイライト

  1. 空手道部に入り日本文化を体験。留学生会では学生交流を盛り上げる
  2. 日本の経営やマネジメントをグループワークで実践的に学ぶ
  3. アルバイトやボランティア活動が、社会経験の幅を広げる
  4. 就活と同時進行で、プチ起業や経営アドバイザーにも挑戦

空手道部に入り日本文化を体験。
留学生会では学生交流を盛り上げる

How was your 1st to 4th year?1~4

入学式直後に行われる新入生研修「出会いの広場」に参加したウン君は、友達づくりだけでなく、これから始まる亜大での授業に大きな期待感を抱いたそうです。
「一番楽しかったのは、大手コンビニ企業の協力による店舗スーパーバイザー疑似体験プログラムです。数人1チームで店の売上を伸ばす運営サポートを考えました。『これが亜大の実践的な学びのスタートだ』と実感しましたね。ただ実際に授業が始まってからは、自分の日本語能力不足を痛感し、友達にノートを借りて聴き取れなかった部分を補う日々でした。代わりに得意な中国語や英語の授業で友達を助けてあげられたのが幸いでした」

少しでも日本文化を知るために体育会の空手道部に入部したウン君ですが、部員3人の少なさに危機感を持ち、「運動しながら日本文化に触れましょう!」と留学生たちに声をかけて回ったそうです。
「いまでは部員17人のうち留学生11人という国際色豊かな部になりました。部活では毎日のように練習し、私自身は大学リーグの個人戦で3位になりました。競技以外の場でも日本文化を体験できました。飲み会が2次会3次会まであるのは驚きで、『締めラーメン』も覚えました。部活や食事会で教わったマナーは、就活にも役立ちましたね」

ウン君は留学生全員が加入する「留学生会」の運営にも参画し、2年次に会計補助、3年次に副会長、4年次で会長を務めながら活動を盛り上げました。コロナ禍で活動が制限されたなか、オンラインでの日本語を話す会や、学友会の国際文化局と連携したイベントなどを次々に開催、夏の高尾山ハイキングには日本人学生も含め54人が参加しました。ウン君は、もっと日常的に留学生が溶け込む機会を増やそうと行動に出ます。
「留学生が学内の部活やサークルに参加しやすくするためにどうしたらいいか、体育会本部に出向いて話し合いました。そこで新たに取り組んだのが、大学公式サイトに掲載されているクラブ・サークル紹介の英文併記です。私1人で約30団体分の翻訳をしたのは大変でしたが、実際に留学生の参加が増えたそうなので報われました」

日本の経営やマネジメントを
グループワークで実践的に学ぶ

How was your 2nd & 3rd year?2~3

経営を実践的に学びたいと思っていたウン君にとって、有意義だった授業の1つが、2年次に履修した全学共通科目「リーダーシップ論」でした。組織の中で人の強みを生かすマネジメントを、グループワークを通して実体験として学べました。
「メンバー数人で与えられた課題の解決法を一緒に考え、パワーポイントで発表する内容でした。この過程で、多くの失敗と学びを得ました。意見の衝突はもちろん、全員がしたい・したくない役割もあってチームはバラバラ。でもよく観察すると、調査が得意な人、資料作成に慣れた人、前に出るのが苦手な人などさまざまな人がいます。私はメンバーへの根回しのうえ、チームを盛り上げ、打ち合わせをスムーズに進めるファシリテーターに挑戦してみました。人を見る目が鍛えられ、就活のグループワークでも大いに活用できました」

2・3年次の専門科目「ベンチャービジネス論」では、ベンチャービジネスを立ち上げる過程を疑似体験するようなグループワークも経験できました。
「3人のチームで事業アイデアを考え、ビジネスモデルをつくり、資金・売上計画から融資に向けたプレゼンまで、起業の流れをリアルになぞりましたね。私たちはフードロス事業をテーマに、自分の目標である『日本での起業』に向けた道筋をじっくりと考えることができました。最後には、実際に起業したOBが来て話してくれたのも刺激になりました」

3年次から組織認識論を専攻とするゼミを履修したウン君は、すぐに卒論執筆にとりかかったそうです。
「先生が3年次に提出してもいいとおっしゃったので挑戦したものの、やはり簡単にはいきませんでした。『海外での起業』をテーマにレストラン経営の詳細な起業計画書を考えましたが、先生に5回出して5回ダメ出しされました。『どのぐらい利益が見込めるの?』『外国人が起業するための要件は?』など、指摘いただいたさまざまな課題を考え直した末、最後にはほぼ実際の起業計画書が完成し、研究発表会を経て無事に合格できました」

アルバイトやボランティア活動が、
社会経験の幅を広げる

How was your 1st to 4th year?1~4

「新しいことに、たくさん挑戦したいんです」と語るウン君の活動範囲は、キャンパス内にとどまりません。
「日本語学校にいたときからイタリア料理、てんぷら専門店、居酒屋、個人経営のラーメン店で働き、入学後は大学近くのラーメンチェーン店でアルバイトしました。店ごとに異なる経営や接客のノウハウを学び、ときには授業の知識を活かすこともできたので、貴重な実践の場でしたね。ラーメンチェーン店では1年後に、唯一の外国人バイトリーダーになったのが自慢です」

店で聴覚障害のあるお客さんに対応したことを機に、手話も学び始めました。
「その時はノートに注文を書いてもらいましたが、手話ができたらもっとスムーズに会話できるんじゃないか、とにかく話したい!という思いが募りました。授業科目にある『手話入門』には、履修抽選から漏れてしまったため、授業を受けた友達にノートを貸してもらったり、手話を教えるYouTubeチャンネルを観たりして独学しました」
この努力が実ったのが2020東京五輪でのボランティア活動でした。街頭で、聴覚障害のある人にトイレや目的地を案内できたそうです。

ほかにもボランティアで小学校での講師を引き受けました。マレーシアの文化や環境問題について語ったほか、東南アジアで盛んなスポーツ「セパタクロー」について亜大セパタクロー部と協力し紹介したことも。「日本人の友達と一緒に、子どもたちと交流しながらマレーシアのことを伝えられたのは、とても楽しく有意義な体験でした」と振り返ります。

就活と同時進行で、
プチ起業や経営アドバイザーにも挑戦

How was your 2nd to 4th year?2~4

ウン君は、2年次から就活をスタートさせました。興味のある飲食業界で、コロナ禍に注目された冷凍食品を扱う大手企業などを調べ、夏休みには会社説明会や1dayインターンシップなどに参加。2年次の後期には、亜大のキャリアセンターも活用しました。
「留学生の自分は日本語能力検定1級を持っていた方がいいと助言され、3年次に取得しました。グループ相談ではエントリーシートの書き方を学び、面接の練習もできました。日本企業の採用方式は独特なので、いろいろ準備できたのは本当に助かりました」

就活と同時進行で、プチ起業やビジネス参画にも挑戦したそうです。マレーシア向けに日本の食器を輸出するオンラインストアの代理店業務や、マレーシアの商品を紹介・販売するキッチンカー事業で車の手配からラッピング、宣伝などを手がけました。卒業を控えた現在は、内定先にも説明した上で、マレーシア料理店の経営や弁当販売にかかわっています。

「80代のおばあさんの個人経営店で、コロナ禍で売上が激減し、存続危機から救いたいと思ったのがきっかけです。経営アドバイザーとして、大学で得た経営の知識や経験を総動員し、棚卸から商品管理、SNSでの情報発信まで助言しています。原価率を計算して考案したハラール食の弁当は、亜大や他大学の留学生を中心に好評です」

内定先の日本食関連企業では、マレーシア進出時の担当も志望しているというウン君。食文化における日本とマレーシアの橋渡し役を目指し、挑戦は止まりません。

  • #新しいことにたくさん挑戦したい
「見つけよう、自分だけの#」について

Q今後の目標を教えてください。

日本で起業して、自分のレストランを持つのが目標です。大好きな日本食に込められたこだわりや、おもてなしの精神を私も大事にしたいですね。マレーシア料理の人気店にするだけでなく、一人暮らしの高齢者や生活に困っている人たちにも安くて栄養豊富なメニューを提供して社会貢献をしたいと考えています。

Q受験生へのメッセージを
お願いします。

亜大では、教科書の知識だけではなく、それを実社会のなかで応用し活用する実践力を身につけられたと実感しています。また亜大は「アジア」というだけあって、いろいろな国から留学生を受け入れ、海外への留学制度も充実しているのは大きな強みだと思います。亜大のキャンパスで、皆さんもぜひ世界の広さを感じてみてください。