
高校時代からの夢が起業家だったという辰口さん。27歳で独立し、新宿に税理士事務所を構えています。ホリエモンに憧れた一高校生が、若手経営者を支援する税理士となったのは、ある先生との出会いからでした。亜細亜大学、亜細亜大学大学院で過ごした7年間とこれまでの歩みを語っていただきました。
中・高校生の頃は、ホリエモンなどが登場したITバブルの時代で、なんとなく起業家への憧れがありました。どういった分野で起業したいといった具体的なものはなかったのですが、起業するには経済を学んでおく必要性を感じ、経済学部を選びました。
高校時代は、学年で最下位をとるほど勉強に身が入らず、「恥ずかしくて(最下位だということは)当時は友達にも言えなかったですね」と語る辰口さん。
それでも起業への夢を追いかけ、生まれ育った富山から上京し、亜細亜大学の経済学部へ入学。東京での生活にどうにか慣れた2年次、財政学と租税理論が学べるゼミへ。
そこで、将来を方向づけるヒントをくれたのがゼミの先生でした。起業の夢を相談したところ「税理士」への道を紹介され、簿記の勉強を開始。自分に合っていると感じた辰口さんは、税理士としての起業を目指し、猛勉強を開始しました。
2年生で税理士という目標を手に入れた辰口さんは、一心不乱に勉強に打ち込む日々を送ります。その甲斐もあり、学部生のときに税理士試験5科目のうち1科目に合格しました。
その後もさまざまな勉強法を調べて効率よく学ぶことを続け、大学院を修了した翌年にはすべての科目に合格(作成した修士論文を国税庁に申請し2科目免除)。辰口さんは25歳で税理士資格を得ました。
「狂ったように勉強しましたね。大学3年以降はほぼ勉強しかしていません。高校時代の友人などは驚くでしょうね(笑)。あそこまでやれたからこそ、比較的若い20代半ばで税理士の資格が取れたのだと思います。個人の成長を伸ばすことをモットーとする亜大という環境も、それを助けてくれました。大学院では、同じ目標に向かっている仲間がいたことも大きかったと思います。よく一緒に勉強しましたし、先輩方から具体的なアドバイスを受けることもできました」。
辰口さんは資格取得後、三鷹の税理士法人に勤務。30代の2人が代表を務める若い事務所で経験を積みます。その後トップ2人の方向性が変わり、勤めてから2年半で事務所が解散することに。27歳の辰口さんは、独立に踏み切りました。
「税理士という資格がありますから、ダメだったら法人に戻ればいい。とにかく貯金がなくなるまでやってみよう、と思いました。幸い、お世話になっていた税理士の先輩の仕事を手伝うなど、独立した翌月から安定的な仕事を得ることができたんです」。
新宿西口の高層ビル群を見渡せるパークタワーの30階に辰口さんの事務所はあります。複合オフィスで初期投資が少なく、かつお客様に安心感を持ってもらえる場所を選んだそう。現在では扱う案件も増え、土日もないほど忙しい毎日を送っています。
「大切にしているのは、誠心誠意対応すること。メールにもすぐ対応するなど、一つひとつの積み重ねです。ですから、税理士事務所として事業を大きくすることなどはあまり考えていません。数字だけを追う人生になったら後悔しそうですし」。
現在、辰口さんは若手経営者の支援を事業の中心に据えています。夢は、起業時からサポートしてきた企業が1社でも上場してくれることだと言います。
「起業間もない会社は、ここから伸びていく可能性があります。税理士費用も会社の規模に合わせて上がるということもありますが、単純に見ていてワクワクするんです。まったく利益がなかった会社が、翌年には売上1億円を達成することもあります。彼らが100億円の売り上げをつくると豪語したり、夢を語る姿を見ているのが楽しいです」。
「自分には、100億円企業などをつくる力はありませんが、それをサポートしたい」と語る辰口さんですが、今後は税務以外の事業展開も考えているそうです。「どういった事業でも税金はすべてに関わってきますから」とのこと。
30歳を迎えた辰口さんの、新たな挑戦が始まっています。
亜細亜大学での学生生活で、「これをやっておけばよかった」と後悔していることはありません。とにかくしっかり勉強をしたという思いがあり、それは今の自分にとって強い自信になっています。あそこまで1つのことを本気でやったのは初めての体験で、あのとき頑張っていなかったら、今の私はないと思います。
亜大は、個人の成長を伸ばす自由な校風です。目指すものがあれば目指せる環境が整っていますし、資格などの勉強は進めやすいと思います。また、卒業生には会計業界で活躍されている方が多く、そのネットワークを生かして仕事で生じた悩みを解消することもあります。後悔のない人生を歩むことをつねに考えながら、悔いのない学生生活を過ごしていただきたいです。
大学院では本当に濃い人間関係ができます。勉強する目的や目標などが同じですから、修了後も付き合いが続く仲間たちと、有意義な時間が過ごせるでしょう。活躍されている修了生も多いので、資格取得や開業についてのアドバイスも受けやすいです。目的意識をしっかり持って、充実した大学院生活を送ってください。