コロナ禍で入学時から完全オンライン授業だったという岡本さんは、自宅でじっくり勉強できると前向きにとらえると同時に、将来の可能性を広げるため「データサイエンス副専攻」を履修しました。高校生の頃から漠然と思い描いていた「世の中に必要とされる人材」になるため、時代のニーズに合わせて学びの幅を広げています。
経済学部
2022.12 取材
プログラミングもゲーム理論も
「世の中に必要とされる人材」の糧にしていきます。
プログラミングもゲーム理論も
「世の中に必要とされる人材」
糧にしていきます。
2020年度入学
岡本舞華
経済学部 経済学科3年
経済学部 経済学科を
選んだワケ
高校時代、まだ自分のやりたいことが分からなかったこともあり、将来の選択肢が広がりそうな経済学部を選びました。
岡本さんの亜大ハイライト
コロナ禍のオンライン授業だからこそ、
じっくりと経済学の基礎固め
How was your 1st year?1年
2020年度入学生の大学生活は、コロナ禍で入学式もなく(翌年に実施)、完全オンライン授業でスタートしました。それでも岡本さんは「登校時間がかからない分、在宅でみっちり勉強できる」と前向きに捉え、1年次から経済学の基礎となる授業を積極的に履修。その中でも特に良かったと振り返るのが、全学共通科目の「表計算の基礎と応用」でした。Excelを用いて、さまざまなデータ処理の方法とスキルを実践的に学ぶことを目的とした授業です。
「通っていた高校がICTパイロット校*だったのでWordやPowerPointは使い慣れていたものの、Excelは授業で少し経験した程度でした。自宅で親がよくExcelで資料作りをしていて、『仕事でExcelは必須のスキル』とも言われていたので迷わず履修しました。3年次に履修する『コーポレートファイナンス』という学部の専門科目では、主に株式の動きや企業の分析をするときにExcelを駆使するので、学んでおいて大正解でした」
中学校では陸上部に、高校では吹奏楽部に所属していた岡本さんですが、1年次はキャンパス内の部活やサークルが活動停止状態だったこともあり、無理に入らなかったといいます。その代わり、バイト先で知り合った同年代の学生仲間とサークル活動のような交流を深めてきました。
「自宅近くの焼肉店でオープニングスタッフとして働くことにしました。バイト仲間とは、公私にわたって仲良くなり、いつもみんなで遊びや旅行を楽しんでいます。焼肉店では接客を通してコミュニケーション能力を高められていることを実感します。もともと人見知りだったので、我ながらよく成長したと思いますね。これもバイト仲間の支えがあったからこそです」
*ICTパイロット校:ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)による学力向上を目指すモデル校
「データサイエンス副専攻」で、
学びの幅が大きく広がる
How was your 2nd & 3rd year?2~3年
2年次から履修を始めたのが「データサイエンス副専攻」です。多くの分野で重要な役割を果たしているデータサイエンスに関する知識を体系的に学ぶことができ、全学部の学生が履修できます。ここで得た知識が各種資格試験に役立つほか、所定科目から20単位以上を修得すると卒業時にもらえる修了証は就活にも活かせます。
「データサイエンス一本で仕事を極めようと思ったら専門的な知識もかなり必要ですが、基礎レベルを理解して活用できるだけでも、将来仕事をするなかで自分のできることが増やせると思っています」
特に、所定科目である全学共通科目「プログラミング言語(Ⅰ、Ⅱ)」は、岡本さんにとって、その後の学びの幅をぐっと広げてくれるものだったそうです。
「プログラミングのできる人材が社会で求められていることは以前から聞いていたので、思い切って履修しました。内容は、Colaboratory(Google)が提供するサービスを使い、プログラミング言語Python(パイソン)でデータ分析プログラミングの基礎を学ぶというものです。ハードルが高いかなと不安もあったのですが、実際は、まったく初心者の私にも理解できるよう、驚くほど分かりやすく進みました。授業のなかで資格の模擬試験も実施されたので、私も挑戦したいと思っています」
もう一つ岡本さんがお気に入りだった所定科目が、「自然科学入門」です。宇宙や身の回りの科学がテーマですが、ハリー・ポッターの話に出てくる賢者の石にまつわる話などを元JAXA研究員の先生が分かりやすく教えてくれたそうです。
授業のグループワークで
経済学の理解を深める
How was your 2nd & 3rd year?2~3年
1年次から履修する専門科目のうち、岡本さんが重要だったと振り返るのは「経済学基礎数学」でした。微分積分など高校までの数学を、経済に絡めて学び直したそうです。経済学を学ぶ上で避けて通れない数学ですが、実際の授業では、高難易度の数学知識やスキルではなく、実用的な視点で学べたことが良かったそうです。
「たとえば複利計算は、お金を借りるときの利子率を絡めて、今のお金の価値と未来的なお金の価値を比較したり、利息を確かめてみたりするので理解しやすかったです。ここでの知識は、2年次に履修した『数学入門』の授業で役立ったほか、卒論でもデータの読み取りなどをしなければいけないので必須になると思います」
3年次になると、経済について実践的に学ぶ授業も増えてきました。そのなかの専門科目「ゲーム理論」は、ミクロ経済学を理解していく上で欠かせない理論の1つです。
「私は、シラバスに書いてあった『囚人のジレンマ』というワードが、以前から気になっていたので履修しました。バイト仲間からは『ゲームの開発でもしているの?』と言われますが、ゲーム理論とはビジネスや社会生活における意思決定の動きを応用数学で考える学問で、相手がある動きをしたときに、自分たちの利益が最大化される行動を見つけてみようというものです。数式を用いながらの授業でしたが、基礎的な数学を復習できたので、安心して受けられました」
授業では、グループワークも重要な要素です。
「3~4人のチームで店のチラシを作ったときは、A4の紙が配られ、いくつかの条件に従って、最も宣伝効果があると思われるチラシをみんなで考案しました。私たちは、チラシを持って来店した方に100円割引とか、カップル客向けの特典など、複数のキャンペーンを用意してアピールしました。対面授業でのグループワークは、とてもやりがいがありました」
就活は焦らず、学びの中からじっくり考えていく
How was your 3rd year?3年
3年次から始まったゼミの研究テーマは「都市経済や地域経済の成り立ち」です。1・2年次に履修した「空間経済学」の延長線で、岡本さんたちはエンリコ・モレッティ氏の著書『年収は「住むところ」で決まる雇用とイノベーションの都市経済学』を輪読しています。
「最近知って興味深かったのは、高い家賃の地域に住む人は必ずしも収入が高いわけではないということです。働く時間の収益が高いぶん、時間を無駄にしたくないから職場の近くに住むというインセンティブが働くそうですが、低賃金の人は移動費用を払う余裕がないので職場近くのギリギリ家賃が払える場所を選ぶケースがあるそうです。同じ都市エリアにもいろいろな収入層が住む理由に納得できました」
今は卒論に向けた準備に入っていますが、年内には具体的な就活も始めたいと語る岡本さん。すでにキャリアセンターに行ったという友人から「不安なことをみんな聞いてくれるし、アドバイスもいろいろもらえるから、一度行ってみたほうがいいよ」と強く勧められたそうです。
「これまで社会全体のことを学びながら、この先に必要とされる知識やスキルも身に着けてこられたと思います。データサイエンスを学んだことでIT関連企業への選択肢も考えられるようになりましたが、ほかの企業でもDX*が進んでいますから活躍できる幅も広がっていると思います。焦らずじっくり考えていきたいですね」
将来の明確な目標が決まっていないからこそ、大学で幅広く学びを探求し、積み上げてきた岡本さん。納得のいく進路が見えてくるのは、そう遠くないはずです。
*DX:デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)。デジタル技術によって生活やビジネスなどを変容させていくこと。
- #必要とされる人材になるために学ぶ
Q今後の目標を教えてください。
高校生の頃、ボランティア部にいた友人の話を聞いて漠然と「私も、世の中に必要とされる人材になって、社会に貢献していきたい」と考えるようになりました。具体的にどんな人材になりたいのか、もっと考えたいと思い進学しました。まだ模索中ですが、データサイエンスなど学んだことを活かせるような職業に就きたいと考えています。
Q受験生へのメッセージを
お願いします。
実は受験生のとき志望大学を2校で迷っていましたが、オープンキャンパスに来て、亜大は一つの場所に全学部がそろっているのがいいと思い決めました。私はサークルには入りませんでしたが、友達の紹介で他学部の学生とも交流できたのは、やはり同じキャンパスだからこそだと感じます。この良さを十分に活かせるよう、これから入学する皆さんは、ぜひ、いろいろなサークルや活動に参加してみてほしいです。